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奈良市街の東方を占める総面積約660ヘクタールの範囲を春日野といいます。興福寺・東大寺・春日大社・奈良国立博物館などと一体になっている広大な範囲ですが、そのうち、春日大社参道の南側を特に飛火野といい、能『野守』の舞台とされています。 「飛火」の字が当てられていますが、「とぶひ」といえば「烽」。古くは狼煙(のろし)を上げていた場所なのだとも言われています。 私は今回初めて飛火野に行ってみたのですが、とても気持ちの良い場所でした。私の写真の撮り方がうまくないので、あまりイメージが湧かないかもしれませんが、飛火野に出ると、それまで周りに見えてた興福寺など歴史建築を含めた人造建築が見えなくなって、見えるのは近く公園の緑。遠くは山々。 近代都市である奈良の中にこんな広く開けた場所があるなんて珍しいと思います。なんだか他の日本の町並みが、なんて狭苦しいのだろうと思わせる場所でした。飛鳥〜平安初期ぐらいの、野守(鬼の野守ではなくて、人の野守のことです)が活躍していた時代はもっと広かったのでしょうね。 山がちな島国である日本では、モンゴルやアメリカのような大草原の景色は望むべくもないのですが、現在のように都市化が進む以前なら、飛火野のような野はもっとあったのかもしれない、と思ったりしました。 ただ、足元に鹿の糞が多いのは難点でしたが…何物にも欠点はある、ということでしょうか?(笑) (2003/11/20) |
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