飛火野 「能楽の淵」トップページへ


飛火野
飛火野

氷室神社境内 鏡の池

 奈良市街の東方を占める総面積約660ヘクタールの範囲を春日野といいます。興福寺・東大寺・春日大社・奈良国立博物館などと一体になっている広大な範囲ですが、そのうち、春日大社参道の南側を特に飛火野といい、能『野守』の舞台とされています。

 「飛火」の字が当てられていますが、「とぶひ」といえば「烽」。古くは狼煙(のろし)を上げていた場所なのだとも言われています。

 私は今回初めて飛火野に行ってみたのですが、とても気持ちの良い場所でした。私の写真の撮り方がうまくないので、あまりイメージが湧かないかもしれませんが、飛火野に出ると、それまで周りに見えてた興福寺など歴史建築を含めた人造建築が見えなくなって、見えるのは近く公園の緑。遠くは山々。

 近代都市である奈良の中にこんな広く開けた場所があるなんて珍しいと思います。なんだか他の日本の町並みが、なんて狭苦しいのだろうと思わせる場所でした。飛鳥〜平安初期ぐらいの、野守(鬼の野守ではなくて、人の野守のことです)が活躍していた時代はもっと広かったのでしょうね。

 山がちな島国である日本では、モンゴルやアメリカのような大草原の景色は望むべくもないのですが、現在のように都市化が進む以前なら、飛火野のような野はもっとあったのかもしれない、と思ったりしました。

 ただ、足元に鹿の糞が多いのは難点でしたが…何物にも欠点はある、ということでしょうか?(笑)

(2003/11/20)

DATA

奈良市春日野町 奈良公園内

能『野守』の舞台。
春日野の 飛火の野守出でて見れば 今幾程ぞ 若菜摘む

交通
・近鉄奈良線「近鉄奈良」

能・狂言ゆかりの地
赤間神宮 / 嵐山 / 生田神社 / 因幡薬師堂 / 宇治橋 / 処女塚古墳 / 小野小町双紙洗水 / 鏡が池 / 冠者殿社 / 貴船神社 / 清水寺 / 鞍馬寺 / 四天王寺 / 俊徳街道 / 須磨寺 / 晴明神社 / 泉涌寺 / 大物浦 / 薪能金春発祥地 / 土蜘蛛塚 / 道成寺 / 東大寺 / 飛火野 / 西求女塚古墳 / 仁和寺 / 鵺塚 / 筥崎宮 / 東求女塚古墳 / 御津 / 和布刈神社 / 八尾地蔵尊 / 吉野山