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大阪のメインストリートのひとつ御堂筋で心斎橋辺りを歩いていると、「御堂筋八幡町」という交差点があり、そこを西に1つ入ると御津八幡宮があります。現在ではここは「アメリカ村」の中心地で、外国人も普通に歩き回るファッションの街のど真ん中にある神社は不思議な雰囲気を持っています。 この辺りは昔は海との境で、港になっていたそうです。奈良時代に行われた聖武天皇による東大寺の大仏建立にあたり、宇佐八幡宮の神霊が力添えをするべく平城京へ上るということがあったのですが、その時、この御津の地に上陸して一時安置され、その跡に社殿を建てたのがこの御津八幡宮なんだそうです。 ほかにも大伴家持が「…芦が散る 難波の御津に 大船に 真櫂繁貫き…」と防人の気持ちを詠んだ和歌を残していますし、また真言宗の開祖である弘法大師空海が唐へ渡る際の出航地であったともいいます。この土地こそが、古代の難波津、難波京の「御津」だったわけですね。 能『芦刈』で「笠之段」の直前にシテとワキが問答しているのも、そういうことを受けてでしょう。 従者「いかに申し候。さて御津の浜とはいづくにて候ふぞ また、近くには三津寺という寺もあります(右上の写真)。寺伝によると天平16年(744)に聖武天皇の勅願で、行基が開創したとされます。行基といえば初めは政府に弾圧されたものの、後に大僧正に任じられ大仏建立に力を注いだ僧侶です。ですからもしかしたら、この寺も東大寺大仏関連で建立されたものかもしれません。『摂津名所図会』には「三津寺は御津八幡宮の神宮寺との説あり」と書かれているそうですし、この2つの寺社になんらかの関係はありそうです。 (2004/02/12) |
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