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能の大曲『道成寺』の舞台となったお寺・道成寺に行ってきました。最寄駅はJR紀勢本線にある「道成寺」駅なんですが、隣の「御坊」駅に着いたら、次に来る「道成寺」駅行きの電車がなんと1時間後。…タクシーに乗りました(^^;) ワンメーターで着きます。 奈良時代の大宝元年(701)、文武天皇の夫人で、聖武天皇の母である藤原宮子(?〜754)の発願で建てられた和歌山県最古の寺だといいます。発掘調査で奈良時代の伽藍跡や瓦も出土したそうですから、本当に古い寺のようです。本尊は国宝の千手観音菩薩像。 なんといっても有名なのが、能『道成寺』や歌舞伎の『京鹿子娘道成寺』などの元となった、いわゆる「安珍・清姫伝説」で、寺の境内にも「鐘巻跡」「安珍塚」「再建鐘楼跡」といった関連のものがありました。 「鐘巻跡」というのは、安珍の入った鐘の周りを清姫が巻き付いたことに由来する名前なのでしょうが、黒川能には『鐘巻』という、『道成寺』の元となったとされる曲がありますし、また道成寺の住所がずばり「和歌山県日高郡川辺町鐘巻」なんですね。 それらの史跡の近くに『京鹿子娘道成寺』を製作・初演した歌舞伎役者、初代中村富十郎(1721〜1786)の碑もあります。 境内を見終わった後は、600円の拝観料を払って縁起堂と宝物館へ。縁起堂は『道成寺縁起』に載る「安珍・清姫伝説」を元にした「道成寺もの」の能や歌舞伎関係の資料が展示されています。 正面には安珍と清姫の像、そして能の前シテの姿を像にしたものに後シテの絵、そして鐘の造り物が実際に屋根に釣られています。歌舞伎関連では、次々に変える衣装。そしていろいろな能役者・歌舞伎役者の道成寺の写真も展示されていました。奉納されたものなのでしょうか? 宝物館は千手観音菩薩像を初め、多数の仏像。何体かガンダーラの仏像も置かれていて、ギリシア彫刻風の美男ぶりを堪能しました。与謝野晶子は「釈迦牟尼は美男におわす」と鎌倉大仏を詠んだそうですが、美男な釈迦というのはここに置かれているガンダーラの釈迦菩薩像のことではないだろうかと感じました。 ところで、縁起堂では『道成寺縁起』を使って「絵とき説法」が行われます。道成寺の名物となっていて、ユーモアも交えつつ実に生き生きと語られます。もし道成寺を訪れたときには是非聞いてくださいね。宝物殿でも、創建の由来や仏像の説明を語ってくれます。その時にお坊さんが語られたことによると、道成寺では本尊を拝む際に手を打ってから拝むそうです。変わってますね。神仏習合だからだとか。 (2005/08/03) |
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