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狂言の入門書です。それだけでは良くある本なのですが、この本の特徴はバランスの良さです。野村萬斎師や茂山千五郎家といった知名度のある演者に偏った紹介に偏ることなく、狂言各家をバランス良く紹介していて、広く狂言を知ることができます。 例えば前半に「狂言カルチャー講座」というコーナーがありますが、所作を野村万作師、面を茂山千作師、装束・作り物を山本東次郎師、扇と持物を大蔵彌太郎師と言った感じにそれぞれ別々の系統の狂言役者が解説を行っています。 続く「次代を担う狂言師たち」では野村萬斎師、花形狂言少年隊(現・TOPPA!)、山本泰太郎・則孝・則重・則秀各師、野村小三郎師のそれぞれです。関西の私などに言わせれば、茂山忠三郎家や善竹家なども取り上げて欲しくはありますが、それでも十分に広い範囲でしょう。 狂言役者ばかりでなく、きちんと歴史も押さえてますし、「狂言の笑い」「だし物50選」で舞台の写真も多く載っています。渡辺保さんのエッセイに関して、善竹家の祖である故・善竹彌五郎師の写真を見ることができたのも嬉しかったです。 巻末に一部能の用語も含めた狂言用語解説や全国の能舞台一覧があるのも便利。 (2004/11/08) |
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