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本当は子ども向けの児童書なんですが…児童書だけに、短いながらもしっかりとした内容を持った狂言入門書となっています。豊富に写真も使われているので眺めるだけでも楽しいですし、型・面・装束・歴史など基本はしっかり押さえられています。 「見る人をいっしょうけんめい笑わせようとしなくても、自然と笑ってしまう、ほほえんでしまう。そういう笑いが狂言の『笑い』なのだ。だから、狂言師は『おかしいことをするぞ!』という演技はしていない。とてもまじめに、普通のことをいっしょうけんめいやっているようすを演じる」 本文からの引用です。この文章などは平易で短いですが、狂言の大切な部分を言い表しているのではないでしょうか。能にも通じる精神だと思います。 狂言の場合、笑い声という分かり易い観客からの返事がありますが、あまり役者が「笑わせ」ようとして演技すると、観客は押し付けられるように感じて逆に白けてしまうんですよね。だからこそ「自然と笑ってしまう」ような笑いが狂言には大切なんだと感じます。 最後の章には「ぼくが狂言師になるまで」という野村萬斎師の文章も載ってます。 (2004/10/19) |
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