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野村萬斎師による狂言入門書。 といっても「野村萬斎」の名前はエサのようなもので、半分ぐらいが監修・解説の網本尚子さんの文章です。演技者・実演者としての立場で野村萬斎師が書かれ、説明的・学術的な面を網本尚子さんが書かれています。そこが「萬斎本」だと思って手に取った人には不満なのかもしれませんが…。 初めて手に持ったときの感想は「薄っ!」というものでしたが、中身はそれほど薄くはありませんでした。実際130ページほどありますし。全てのテーマが2ページずつで完結するように書かれ、写真がたくさん使われていること、これは入門書では大切なことですね。最近の入門書はこういう傾向が強いように思いますが、少しずつ知っていくためにはちょうど良い形式だと思います。 一応、内容は「はじめに」「登場人物」「狂言事始」「能と狂言」「狂言の型」「狂言の修行」「狂言の花」「舞台形式」「演技・演出」「狂言を観る」「新演出」「おわりに」と分類されています。 能と狂言は一緒にあってこそ、と思う私は「能と狂言」の章があるのがうれしいです。間狂言のこと、囃子入りの狂言のことなどがこう取り上げられている狂言入門書はそうありません。やっぱり、檜書店だからでしょうか。 野村萬斎師らしいのは「新演出」の章ですね。これは、私は萬斎師の演出による舞台を見たことがないのでよく分かりませんが。しかし、『萬斎でござる』にあくまで狂言に入門者向けと書いてらっしゃった覚えがありますし。確か(^^;) しかし、「狂言を観る」の章にあったマナーの話。これがある能や狂言の入門書は初めてです。こんなちょっと考えれば分かるような「当たり前のこと」をわざわざ書かないと分からない人が増えてきたんでしょうかねぇ。 もっとも実際に能や狂言を見に行っていて、マナーの悪い人っていますから仕方ないのかもしれません。啓蒙啓蒙。 (2005/02/09) |
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