繁昌亭に行けば、いつでも落語をやっている
桂蝶六さんの独演会に行って、落語熱がちょっと加熱したので、その次の休み(11月3日)には天満天神繁昌亭に行きました。「定席」というそうですが、「繁昌亭に行けば、いつでも落語をやっている」というのは良いですね。芸態が違うので、そのまま能・狂言に当てはめることが間違っていることは分かってますが…。
話を戻して繁昌亭に戻して。昼席は漫才を含めて10組の出演。4番目に登場された露の吉次さんは、落語そのものではなくて、落語《がまの油》で登場する油売りをそのまま演じてみせるという色物。なかなか楽しかったです。
興味があったのが、故桂春蝶さんの息子・桂春菜さん。演じられたのは27日の蝶六さんと同じ《任侠伝》。ただし後半、主人公が警察に連れて行かれた辺りから流れが変わって、警官が『ミナミの帝王』の萬田銀次郎(竹内力)の真似をする部分がありました。
元々「なんとなくヤクザ映画」ということで笑っているのが、具体的な映画が登場するのは普遍的な演出から遠のくようにも思います。まあ、元の形でも高倉健さんが寿命の長い俳優で今も活躍なさっているから、保っている部分もあるとは思うのですけれど…。
トリの桂春之輔さんが語りはった《まめだ》が絶品でした。派手に陽気に聞かせる落語が多かった中、しっとりと自然に聞き入らせる落語でしたし。
ちなみに開演と仲入(休憩)が終わったときに、開演のお囃子が能管と大太鼓で奏されるのですが、専業である能楽の笛方の演奏を聞き慣れているせいか、開演の時のお囃子では能管はもう少し力が足りないなぁ…と思ってしまいました…。仲入後に吹いた方は別人のようで、力一杯吹いてらっしゃったので、こちらは満足。
落語と能管といえば、『枝雀落語大全』の『鴻池の犬』で奏される出囃子が「中之舞」で、あの「オヒャ、オヒヤリ、ヒウイヤラリー。オヒャイヒョーイヒャーリウヒー」と聞き慣れた旋律が流れて嬉しくなったものでした。
天満天神繁昌亭昼席
◆11月3日(土)13時~ 於・天満天神繁昌亭(大阪市北区)
★落語『子ほめ』桂佐ん吉 ★落語『手水廻し』桂壱之輔
★落語(?)立花家千橘 ★寄席芸『がまの油』露の吉次
★落語『任侠伝』桂春菜 ★落語『子はかすがい』露の都
★落語『茶漬間男』笑福亭晃瓶 ★落語『ふぐ鍋』桂米左
★漫才 幸助福助 ★落語『まめだ』桂春之輔
久々にこちらに書き込みさせて頂きます。
「まめだ」、季節柄良いですね~。
この話を聞くと、いつも泣きそうになります(><)
落語と能管といえば、以前テレビで観た歌舞伎?でも能楽囃子と同じような曲(舞働とか早笛とか中の舞といったものだったと思います)が流れていたのですが、笛は一噌ベースなんだなと思って聞いていた記憶があります。上方落語なら、森田流ベースになるんでしょうかねえ?
と、疑問を抱いてみました(^^;
★PAWさん
「まめだ」、良かったです。落語の秋の佳品ですね。
一噌流は全然存じ上げませんし、
森田流と藤田流の聞き分けもなってない私ですが(笑)
前に坂東玉三郎さんの『京鹿子娘道場寺』のテレビ放送を拝見していたら
田中傅左衛門さんが乱拍子の小鼓を打ってらっしゃったのですが、
これが大倉流の掛け声そっくりなんですよ。
(「花のほかには松ばかり」の次第~乱拍子~急之舞までは能そのままの演出でした)
あとで横道萬里雄さんの文章を拝見していたら、歌舞伎の田中流の小鼓は
大倉流から手が入っているとあって、なるほどなぁ、と思ったものです。
林家染丸さんが、大学で持ってらっしゃっる講義を受けていたら、
寄席囃子の講義だったことがあるのですが、お弟子さんの一人が
(失礼ながら、どなただったか忘れてしまいました)が
能管で、中之舞の独奏をして下さいました。
私も大鼓持ってきて、合奏したかったものです(笑)
幽霊が出る時の「ヒュ~ドロドロドロ」という囃子の
「ヒュ~」は能管ですよね。