「狂言画 伊勢門水」展

名古屋能楽堂 伊勢門水展

狂言方にして画家、本業は旗商

お盆に名古屋に行ってきました。…仕事での出張ですが。その帰りに名古屋能楽堂に寄って来ました。目的は「名古屋能楽堂開館10周年記念 特別企画」の「伊勢門水展」!

伊勢門水(1859-1932)は名古屋の和泉流の狂言方で、狂言共同社の創立者の一人ですが、同時に多くの狂言絵の作品を残しています。

彼の絵は趣味の域を超えたもので、能楽評論家の坂元雪鳥や日本画家の前田青邨にも褒められ、晩年には多く画会も催されたようです。門水の号は本名「水野宇右衛門」、つまり「水の上の門」をかけたシャレとなっているようですが、知的でカッコいいですよね。

他にも名古屋市内の祭を調査して、『名古屋祭』という本にまとめています。それでいて、本業は「伊勢屋」という旗商だったそうで、本当に多彩な活動をした人物だったのですね。

今回の門水展は23点ほど。展示室の半分以上は通常展?で、もっと多くても良いのになぁとも思いましたが、無料で見れるので文句は言いません(笑) やっぱり生き生きとした絵で好きです。特に《唐人相撲》の絵が描かれた扇が賑々しくて良かったです。

また能の絵も《小袖曽我》《安宅》などいくつか展示されていました。場面で謡われる詞章も書かれていたので、展示を見ながら、周りに人がいないのを幸いに、つい口ずさんでいたり(おい) 「門水好み」として、狂言で果報者がかぶる侍烏帽子の形をした香合も展示されていたのは、さぁすが!と思わず、にやりとしながら眺めていました。

名古屋能楽堂開館10周年記念 特別企画

「伊勢門水展~明治・大正の名古屋を代表する文化人~」
会期 2007年8月1日(水)~31日(金) 9時~17時(最終日は15時まで)
会場 名古屋能楽堂(名古屋市中区三の丸1-1-1 電話 052-231-0088)
入場無料

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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2件のフィードバック

  1. 花兎 より:

    伊勢門水の絵っていいですね。
    複製画や絵葉書でも作ってくれないかと思っちゃいました。
    そういえば、表装に装束を使った掛け軸もあって、それもすてきでした。

  2. ★花兎さん
    >>複製画や絵葉書でも作ってくれないかと思っちゃいました。
    確かに! 絵葉書なんて、たくさん買ってしまいそうです。
    最近分かったんですが、
    http://funabenkei.daa.jp/others/trump.html
    に載せている能トランプ。これに使われている絵は、
    能画家の月岡耕漁のものですよね。