展示「ワキ方福王流の謡と歴史―江崎家旧蔵資料を中心に―」

ワキ方福王流の謡と歴史―江崎家旧蔵資料を中心に―

貴重な新資料が展示・公開されます

ワキ方の江崎家は、元禄年間(1688〜1704)に初世正左衛門直次が姫路に移住して以来、代々、その芸をもって姫路藩主に仕え、また地元姫路だけではなく、京都や大坂も含め広く関西一円で活躍してきた家です。

江崎家に伝わる古文書約800点が昨年、江崎家から神戸女子大学古典芸能研究センターに寄贈されました。能楽の家にとって代々集められてきた家伝の伝書は家の宝。それを研究機関に寄贈され、広く研究に資されることを決められた当代・江崎欽次朗先生のご判断は「英断」だと私は思います。

そのお披露目として、神戸女子大学古典芸能研究センターの展示室において展示が行われます。私も、能楽フォーラムにて「ワキ方江崎家小史」と題した発表をさせていただくために、江崎家にていろいろ見せていただいておりましたが、改めて神戸女子大学古典芸能研究センターで整理された形で拝見できることを楽しみにしております。

歴史の発表ということで、私は系譜資料を中心に見ていたので、謡本はほとんど眺めた程度でしたが、田中允氏の大著『未刊謡曲集』で「江崎本」としてたびたび紹介されるなど貴重な本を多く含む謡本群です。ワキ方でも特に福王流は、舞台上でワキをつとめるだけではなく、謡の文化の広がりの中で大きな役割を果たしてきた歴史があることを思い出しました。

土日祝休室なのが勤め人には少々つらいですが、充実の展示になると思いますので、ご興味のある方は是非とも。詳細は神戸女子大学古典芸能研究センターのサイトを御覧ください。

ワキ方福王流の謡と歴史―江崎家旧蔵資料を中心に―

2016年2月15日(月)〜3月31日(木)10時~17時。[土・日・祝日休室]
会場:神戸女子大学古典芸能研究センター展示室(神戸市中央区中山手通2丁目23-1 神戸女子大学教育センター2階)
入場料:無料

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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