大鼓の稽古《自然居士》

さて、大鼓の稽古日。前回のお稽古で『花月』を終わって、『自然居士』の舞囃子です。

『自然居士』は前に大学の授業での発表で取り上げたこともある大好きな曲です。初めて梅若六郎師の舞台を拝見した曲が『自然居士-古式』だったというのもあり、強烈な印象を持ってました。

簡単にいうと、人商人にさらわれた少女を助けるためにヒーロー自然居士が活躍する勧善懲悪ものの能。自然居士のセリフ「今の女ハ善人、商人は悪人。善悪の二道ここに極まって候ハ如何に」にシビれます! こんなにスカッとする能も珍しい。作者は観阿弥だそうですが、世阿弥以後の整った能とは違う魅力があります。

今までにやった『花月』『放下僧』以上にテンポの良い曲です。『融』のような貴族的世界より、庶民的なヒーロー『自然居士』の方が親しみがあるようで、打っていて気持ちが良い。考えながら打つというより、手が勝手に動くようでなきゃダメな曲だと思います。

最後の「今は菩提の岸に寄せ来る!…船の中より」とテンポが変わるところでは、謡との息遣いを探るような融合感がたまらない。ホントに素敵な曲です。打つのはいつでも楽しいですけれど、こんなに楽しかった曲は『安宅』以来です。

TTR能プロジェクト~花形能舞台~に関する記事によると、味方玄師も『自然居士』がお好きなようですね~。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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