能楽WS…装束を付けて

 「舞台芸術ワークショップ・大阪2005 能楽」もいよいよ佳境。2月3日(金)の復曲能『巴園』成果発表会まで後3日しかありませんから当然と言えば、当然。今回は装束を付けての通し稽古でした。

 用意した肌半襦袢に白パッチ・足袋という姿の上に、胴着といわれるモコモコの装束下を着るまでが自分でできること。後は能楽師の先生方が二人がかりで着付けて下さり、私は為されるがままです。時々「ここ、手で押さえていただけますか?」と言われる指示に従うのみ。襟はかけ襟というのでしょうか、襟だけのものを付けるのが面白いです。

 私は青龍ですから一般的な龍神の格好(リンク先は杉浦豊彦師の『春日龍神』)。赤い厚板を着て大口(能装束の袴)をはき、その上に法被を右肩脱いで着ます。面は黒髭。頭の上には赤頭と龍戴。これが結構重いし、気になります(汗) 帰宅後『演目別にみる能装束』を読むと、オスの龍は尾に剣を持っているそうなんですが、そこまで確かめるのは忘れてしまいました。目が白目で怖かったことだけが印象(笑)

 左袖の法被の袖を腕の内側にかける型がありますが、これは初体験。能装束を着た場合しかできない型なので(普通の着物ではかけるほど袖がない)、前からやってみたかった型なんですが、いざ実際にやると慣れずに困ります。着付が終わって袖をかける練習をしていたら、今回着た装束は本番に使う装束とはまた違うそうで、先生は「本番はもう少し袖が重いですから、思い切りかけて下さい」と仰っていました。

 前シテは白大口をはいた尉の姿。初番目物の前シテによくある格好です。後シテは狩衣に、今回はつけてませんでしたが唐帽子をかぶって、樫の杖をつきます。『張良』の後シテ・黄石公に似ているでしょうか? 前シテ・後シテは同一人格なので、同じ皺尉の面をつけるということです。ワキは狩衣に白大口・烏帽子の勅使姿。ワキが紺色の狩衣で、ワキツレは赤色です。狩衣が好きな私はワキも良いなぁ、なんて浮気心が出てましたイヒヒ

 今回の通し稽古には囃子方や子方も参加です。笛はなんと藤田六郎兵衛師! 私、六郎兵衛師の笛で舞うのか~と嬉しいと共に緊張。しかし、後シテが出ると鏡の間には私を置いて誰もいなくなってしまい(笑)、出番はまだだし、気持ちは落ち着かないし、舞台を覗くわけにもいかないし、と聞こえてくる大鼓の手をなぞることで気を紛らわせていたら、戻って来られた書生さんに「余裕?」と言われてしまいましたたらーっ イエ、逆デス。余裕ハ無イケド、ジタバタ出来ナイシ、気ヲ紛ラワシテイタダケナンデス。

 出番は一瞬で終わりました。型を間違えましたけれど、なんとか。面と赤頭を取ったら目の前にいるのは大槻文蔵先生! 「あれ以上前に行ったら落ちるよ」とご注意賜りました。…はい、次は気を付けます。

 能装束、着付ける時は二人がかりで大変そうだったのに、脱ぐ時は一瞬です。洋服に着替えて改めて先生からご注意を受けて今日の稽古は終わり。次回は申し合わせ、その次は本番です。あと3日しかありませんが必死に頑張ります。

 繰り返しになりますが、WS参加者による成果発表会は2月3日(金)19時~、会場は大槻能楽堂です。入場無料。ご都合が宜しい方は是非見にいらして下さい。素人なりに頑張ってます!


 今回、子方をつとめてくれたのは赤松祐一くんなんですが、前シテの方が面をつける前にちょこっと覗いて「この皺尉かぁ」とつぶやいてました。「この」と言ってるということは、他の皺尉の面との見分けとかできてるわけで…能への知識と経験の深さが感じられてしまいました。ホント末恐ろしいお子さんです。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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2件のフィードバック

  1. 紅緒 より:

    ついに能装束を付けたのですね!カッコイイ~☆(^・^)
    と、外野はただただ羨ましく思うばかりでございます。
    本番まであと2日!気合い入れて頑張って下さいね。

  2. 龍神の装束をつけると、
    右の手ぐらいしか私の生身は外に出ません。
    だからこそ、カッコ良いというか(笑)
    明日が申し合わせ。そして当日です。
    落ちたりして怪我だけはしないように気を付けて
    頑張りたいと思います(^^)