文楽 本朝廿四孝

通し狂言 本朝廿四孝

 これもまた10日以上前の話ですが、国立文楽劇場に文楽を見に行って来ました。文楽を見るのは二回目。一度目は9月27日(火)に尼崎のピッコロシアターで催された日韓国交正常化40周年イベント「世界無形文化遺産 文楽&パンソリ」でした。韓国の伝統芸能・パンソリとの交流公演ですから、初心者向けかと思って。

 その時の文楽の演目は『傾城阿波の鳴門』巡礼歌の段。しかし、人形遣いや太夫の技術力に興味を覚えましたが、演劇としては入りきれず、続いて演じられたパンソリ劇「沈清伝」の方が印象に残ってます。

 このパンソリ劇、伝統的な上演形態ではなく、パンソリ・ミュージカルといった感じ。舞台上の薄い膜にCG映像を映してその向こう側で演じたり、スピーカーで音響を流して照明効果もバリバリ。文楽が伝統的な上演形態だっただけに、伝統的なパンソリが見たかったとも思いましたが、大迫力でした。背景で刻まれる太鼓も良かったです。韓国語で歌っているのに、大阪弁の文楽より分かるんです(汗) その公演では文楽がパンソリ・ミュージカルの引き立て役になっていたというのが正直な感想です。

 そんなわけで、今回は文楽を堪能するために文楽だけの公演を見に行ってきました。演目は通し狂言『武田信玄 長尾謙信 本朝廿四孝』。歌舞伎や文楽の演目のことを「狂言」と呼びますが、その最初から最後まで通して上演することを「通し狂言」といいます。長いので第一部と第二部に分かれてはいますが、10時45分開演、20時50分終演という10時間かけての公演です。

 私はお試し気分で第一部のチケットを取ったのですが…当日寝坊してしまいますムニョムニョ 起きて急いで準備して、大阪日本橋(国立文楽劇場の所在地)に向かいますが、着いた時には二段目「諏訪明神百度石の段」が終わりかけでしたたらーっ 何と勿体ないことを! しかし、横蔵という男が車遣いたちをやっつけてしまう場面で、太夫がずらっと並んでいて壮観! 人形たちの動きも激しく一気に引き込まれ、直感的に文楽って面白い!と思いました。

 しかし「諏訪明神百度石の段」が終わると、昼の休憩時間です(笑) 文楽は能や狂言に比べるとかなり様々な人間関係が入り組んでますので、休憩時間中にパンフレットを購入して、あらすじと人間関係を頭に入れました。『本朝廿四孝』は戦国武将の武田家と長尾(上杉)家の争いを背景に、様々な事件を描いた作品で、私が見た部分は、軍師・山本勘助を巡る物語といえると思います。冷静に見ると、少々無理やりに家族の情と君臣の忠が対立させているような展開もありますが、私の心の「日本人」な部分に訴えかけるのか、あらすじだけ読んでもニヤニヤとしてしまいました。

 特に面白かったのが、第一部最後の「勘助住家の段」。横蔵と弟の慈悲蔵による、父・山本勘助が残した兵法書「六韜三略」の争いから、一気に物語の仕組みが明らかにされるのは、サスペンスドラマの謎解きを見ているようでした。中でも勘助を名乗ることになった横蔵が

 不孝と見えし勘助は、却つて父の名を上る、廿四孝に優りし孝、器量も揃ふ二人の子ども、軍法伝授のこの一巻、サ頂戴しや。

 と、演目名の由来をバーンと言ってのける箇所は、快感でしたね。

 それにしても、文楽って不思議です。あんなに多くの人形遣いの方々が後ろを動いているのに、引き込まれると全く気にならず、完全に「人形が演技」しているんですよね~。そして語りの太夫。三味線の方と一緒に隣からこれでもか、と語ってくださるのですが、それがまた引き込まれると人形が喋っているように思えてくる…。それだけ引き込まれるぐらい楽しめたということでもあるんですけれどね。

 幕見もあるそうですので、今回見逃した大序と第二段、それに第二部も見てみたいなぁ…と思ったものですが、あれよあれよという間に今日が上演最終日になってしまい、果たせませんでしたモゴモゴ 博物館の特別展や映画などもそうですけれど、なんとなく行きたいと思ってるだけではすぐに期間が終わってしまいます。その点、能や狂言は一日だけなので狙って行きやすいのですけれど(笑) また1月の文楽新春公演に行ってみたいものです。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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8件のフィードバック

  1. かおり より:

    はじめまして
    石屋のカミさんのかおりです
    TB、ありがとうございました。
    能・狂言・文楽・・・
    楽しそうな記事ばかり!
    嬉しいです
    またちょくちょく遊びにきますね

  2. 11月文楽公演 みてきました

    久しぶりに文楽を見てきました{/face_hohoemi/} それも一番前の真ん中の席でみてしまいました{/kaeru_en4/}お人形を見るには絶好でした。細かいところまで見れて満足{/3hearts/}

    出し物は「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅっしこう)」。演目の一部をいろいろととりあわ

  3. かえで より:

    今か今かと書き込みをお待ちしておりました。
    遅刻ですかぁ。なんとまぁ!!残念でしたね(^^)
    本日は楽日。もちろん通しで行ってきましたよ。
    十種香と狐火は、次回はぜひご覧下さいね。
    和田別所も、文楽ならではの楽しい段でございました。
    昨日は桧垣の後に幕見で参りましたが、なんとチケットは完売で拝見できませんでした。あれなら、能の余韻を大切に帰宅すればよかったと、ちと後悔(T_T)
    1月公演は三番叟がありますのでぜひぜひご覧下さいませ。
    初日でしたら、鏡割りもございますよ~!

  4. ★かおりさん
    コメントありがとうございます。
    文楽を楽しんだのは初めてなのですが、
    これからも見ていきたいと思います。
    ★かえでさん
    寝坊で遅刻ですよ。前日中にしなければならないことがあって、
    なかなか寝れなかったとはいえ…いや言い訳です(汗)
    無駄になったお金が。そして味わえたであろう経験が。
    もー悔しいです!
    楽日というのは、千秋楽のことですか?
    専門用語は解説付きでお願いいたします(笑)
    能楽の『翁』を象ったという『寿式三番叟』。
    これは能楽ファンにして、文楽に興味を抱きつつある私には
    逃せない演目ですね。私、『翁』好きですし。

  5. 11月文楽公演「通し狂言・本朝廿四孝」

    お園です。

    先日「大阪文楽遠征・0泊3日弾丸ツアー」で
    国立文楽劇場にひとりで乗り込みました。
    大変お待たせ致しましたが、文楽観劇記をお届けします。
    まずは第一部観劇記で

  6. 続・11月文楽公演「通し狂言・本朝廿四孝」

    お園です。
    文楽観劇記、今回は「本朝廿四孝」第2部・観劇記です。

    11月文楽公演 通し狂言「本朝廿四孝」
    【第2部】
     二段目 信玄館の段/村上義清上使の段/勝頼切腹の段

  7. お園 より:

    はじめまして、お園と申します。
    コメント&TBありがとうございます。
    こちらもTBさせて頂きました。
    柏木さまは、文楽2回目なのですね。
    ワタクシも今年の2月に文楽を見始めた若輩者なので、
    大きいことは言えませんが、
    文楽っていいですよね!
    最近ではやや追っかけ入ってきておりますが、
    今後も色々観に行き文楽観劇記アップ致しますので、
    ご贔屓に宜しくお願いします。

  8. お園さん、コメントありがとうございます。
    文楽を拝見したのは2度目ですが、
    上に書いた通り、1度目は入りきれなかったので、
    文楽おもろい!と思ったのは初めてです。
    理屈では上手く説明できませんが
    お園さんが仰るとおり、「文楽っていい」って感じです。
    また拝読させていただきますので、
    宜しくお願いいたします。