神戸女子大学古典芸能研究センター

神戸女子大学古典芸能研究センター

初めて行った古典芸能研究センター

休みの日、神戸まで出かけてきました。目的は三宮・生田神社の裏手にある神戸女子大学の古典芸能研究センター。狂言の見たことのない曲も含めて、具体的なセリフや演出がいろいろと知りたくて、このセンターなら資料もあるかなと思い、訪ねてみました。

ともかくも女子大の敷地なので…まずは守衛室に出頭。低姿勢に古典芸能センターを訪ねて来たことを申し出ます。女子大の守衛さんって、勝手な印象ですが、なんだか怖いので(^_^;) そして改めて、2階にある古典芸能研究センターへ向かいます。学外利用者のところに名前を書いて閲覧室へ。ちらりと知った名前も数人見かけて「あの方も来てるんだ」などと思いつつ。

研究員の方に来館の目的を話すと、「ここは文庫別に並んでるので、目的別に探すにはちょっと不便なんですよ。欲しい資料があったら何でも言って下さい」と、研究者でもない一素人にとっても親切にしていただきました。ありがとうございます。

とりあえず狂言の総合ガイドのような本を数冊、それから私が知りたいのは大蔵流の演出なので、茂山千五郎家の台本(茂山真一[三世千作]書写本)と、山本東次郎家の台本(山本東[初世東次郎]書写本)で活字になっているものを出していただきました。善竹家の本がないのがちょっと不満。

茂山真一本を活字にした小学館・新編日本古典文学全集の本は、わりと舞台での演出が想像し易いように書かれていて親切。でも収録曲数が少ない…。山本東本を活字化した岩波書店・日本古典文学大系の方が収録曲数は多いですが、狂言の演出資料というよりは純粋な台本に近くて、私が知りたいところが少し分かりにくかったり…。

両書に載っていない曲に関しては、仕方がないので、和泉流や鷺流の台本をとりあえずコピーさせていただきました。どこまで共通なのかちょっと心配ですが。

研究員の方に親切にしていただいた

「レコードやCDの音声、ビデオやDVDの映像もありますよ」と教えていただいたところに、当代茂山千作師のもので、調べたいと思っていた曲のビデオがあったので、それも見せていただきました。とても面白かったのですが、最後に収録されていたインタビューによると、茂山千之丞師考案による新演出を入れて演じたとのこと。今は素の演出を知りたい私は、つい「入れんな~」と突っ込んでしまいました(^_^;)

閲覧室の端には「明治の謡本とその版木」と題して、観世流と金剛流の謡本の版元である檜書店から寄贈された版木と刊行された謡本などが展示されていたのですが、それもゆっくり解説していただきました。来月にある大学祭の時に、神戸女子大学の本校で、刷りや和綴じの技術を伝えている方を呼んで、版木から謡本が作られる過程の実演もなさるとか。見に行きたいですけれど、都合が付きづらそうなのが残念。

刷が重ねられてすり減ってしまっていたり、割り木を入れて文字を補充してあったりという様子は面白かったですし、研究員の方から、戦中・戦後には物資が本当に足りなくて、薪に使われてしまってなくなった分があるとか、とある謡本の奥付に嘘が書いてあるって話だとか、詳しいお話も聞かせていただき、楽しかったです。

閲覧時間を超えてしまうほど楽しかった

そのあたりから話が盛り上がって、能楽に関していろんな話を聞かせていただき、最後にはメールアドレスを交換してました。ああ、なんて楽しいんだろう、古典芸能研究センター。そうこうしている間に閲覧時間の終わりが近づいてきたので、とりあえず目星を付けた台本だけコピーさせていただきましたが、終わらない(^_^;) 本当は閲覧時間が17時までのところを18時までいさせていただきました。

本を取りに行く途中に今回調べることとは関係なくとも、面白そうな本が山ほどあって…。絶対に近いうちにまた行きます。…しかし、お土産(?)にとある研究会の発表レジュメをいただいたんですが…ほとんど意味が分からへん(汗) レベル高いです…。こんなのが分かるようになりたいものですね。

…ところで本当は神戸まで行くんだからと、ちょっと足を伸ばして「猶眞の面」能面展も覗かせていただくつもりだったのですが、18時までいたために次の用事まで時間がなくなってしまい、参れませんでした。お誘いいただいたBACKYARDさん、失礼いたしました。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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4件のフィードバック

  1. BACKYARD より:

    ブログにのせて いただけて光栄です。
    ここは以前 大谷節子氏が たしか センターの長をされていたようなのですが、先日何かで拝見したときは わざわざ削除になっていたので もう 交代されたのではないかと思います。
    一度 訪れたいと思いながら 近くても 遠くても なかなか 腰の重いものにはいけないものです。

  2. 夜久乃 より:

     古典芸能センター……行ってみようかな、どうしようかな、という感じです。。
     

  3. dream-man より:

    ご無沙汰しております。
    狂言の台本も所蔵されているそうですね。
    茂山真一本を活字にした小学館発行の狂言集は持っていますが、ゆげひさんが仰っている通り、分かり易いけど収録曲が少ないです…。
    今度、研究センターへ行ってみようかな。
    でも、女子大の敷地内に潜入するのはちょっと勇気が要りますね。

  4. ★BACKYARDさん
    神戸女子大といえば、大谷節子助教授ですよね。
    先日の、花園大学の公開講座で講師をされてましたが。
    私も前々から訪れよう、訪れようと思っていましたが
    今回やっと行くことが出来ました。
    やりたいことは思い切ってやらねばならないと感じましたね。
    ★夜久乃
    行ったらいいよ。とりあえず。
    能楽以外の資料も豊富だし。
    ただし、空いているのは平日だけだけどね。
    ★dream-manさん
    お久しぶりです。
    小学館から出ている茂山真一本は「日本古典文学全集」と
    「完訳日本の古典」「新日本古典文学全集」とありますが、
    それぞれ収録曲に多少の違いがありますね。
    でも、重なっているものも多くて…
    もうちょっと多くても良いと思うのですけれどね(笑)
    大蔵流のものとしては、あとは岩波書店の
    「日本古典文学大系」から山本東本を活字にしたものが
    出てますが、上下巻になっていて、収録曲数では
    こちらが断然多いです。
    女子大の敷地内ですから、ともかく守衛室に出頭あるのみです(笑)
    オープンキャンパス中だったのではありますが。