篠山・能楽資料館

篠山能楽資料館
住所:兵庫県篠山市河原町175

すでに1ヶ月以上前の話なんですが…兵庫県篠山市にある能楽資料館へ行ってきました。

5年ほど前に一度、名作能面展(だったかな?)が催されていた時に、能楽師の方に連れて行っていただいたことがあるのですが、その時は能面のそれぞれの名称と形が全く分かっておらず、片っ端から「この能面は何ですか?」と聞きまくり、その能楽師の方に「ちょっとは自分で考えろ!」と叱られた思い出があります(苦笑)

あれから時が経ち、(まだまだ分かっていないものの)ある程度は能面などの知識も得たので、今回再チャレンジしてみました。展示は能面・狂言面から始まって、能装束・狂言装束・鬘桶・鼓胴・笛などなど。能や狂言の絵もありました。前に行ったときは、ただただ付いて歩いていただけなので、印象も薄かったのでしょう。意外な(←失礼)充実振りに大満足でした。

展示の半分近くは能面です。いろいろな能面が展示されているのですが、時々、「この『平太』を使用した舞台『屋島』」だとか、「この『重荷悪尉』を使用した舞台『恋重荷』」だとか、舞台写真と一緒に展示されているのが良い感じ。ただ展示されているだけでなくて、時々、実際に舞台に使われているんですね。使われてこその能道具だと思いますから、嬉しいです。

私が一番好きな能面は「神体」「真角」「三日月」といった精悍な男性を象った、いわゆる「怪士」系統の面です。大学能楽部の自演会で、自分が演じさせていただいた『船弁慶』後シテで使う面だからでしょうか。前に行ったときにも見た洞水・出目満矩作「神体」と再会しましたが、この面は上品で良いなぁと思います。

若い女性面は、能楽ファンを名乗るには恥ずかしいのですが、表情の違いが未だに分かり難く、どこか苦手意識があるのですが、赤鶴(しゃくづる)吉成作「小面」にはびっくりしました。だって赤鶴ですよ! 観世宗家にある、世阿弥もつけたともいわれる「小癋見」など鬼神系の面作者として知られた名前だけに、小面というのは意外に感じます。一般的な小面よりは、少しすっきりしているかな…。能楽資料館収蔵品の代表格ですね。

狂言面では鷺流の名物面だったという、口が開閉できない(顎が離れていない)大和・大宮真盛作の「狐」面が精悍で好みでした。それから赤鶴作だという「武悪」もありましたが、これが驚きの薄さで。あと大蔵流の本面だという「登髭」の面もありましたが、名前の由来になった上向きに生えた髭が古さの為かなくなっていて、なんだか「延命冠者」の面に似てるなぁ、と思ったものでした。

それから鼓胴といえば小鼓胴ばかり、ということが多いのですが、大鼓の胴もいくつか展示されていて、大鼓を習っている身として思わず興奮してしまいました。太鼓もありました。それらの胴には綺麗な蒔絵が施されているのですが、ただただ装飾的に綺麗なだけではなくて、例えば、錠前と柿のへた・梨を描いた「錠図蔕梨(じょうずへたなし→上手下手無し)」なんて遊び心のある柄もあって、楽しめました。

想像以上の充実振りで、見終わったら思った以上に時間が経っていて、びっくりしました。見終わった後、共通の入場券で入れる「丹波古陶館」にも行きましたが、焼き物は考古学の土器から始まって苦手なので(おまけに展示室が作品保護のためか、とても寒かった)、すぐに出てしまいました(苦笑)

篠山春日神社能舞台
それから、近くの篠山春日神社へ。篠山藩第13代藩主で能を愛好した青山忠良が文久元年(1861)に奉納した能舞台があり、今でも元旦に丹波篠山翁神事、春に篠山春日能が催されています。

残念ながら、舞台は閉められていて見ることはできませんでしたが。とりあえず写真のみ。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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2件のフィードバック

  1. かよ より:

    mixiのかよです。
    なんとかネット開通したので、久しぶりに参上です。
    私、ここで学芸員実習させていただきました。
    このへん、町並みも風情があって、歴史が残ってる町ですよね。

  2. ★かよさん
    こんにちは。能楽資料館で学芸員実習!?
    なんて羨ましい!
    篠山の町は変に近代化しすぎずに、
    古い城下町の風情が残っていますよね。
    大書院にも行ってみたかったのですが
    時間がなくて…次の機会にぜひと思ってます。