茂山(善竹)彌五郎の映像

能楽名演集 善竹彌五郎

NHKアーカイヴスの映像がDVD化

今日、能楽堂で、DVD『能楽名演集』第2集の宣伝のチラシを見つけました。NHKのアーカイヴスに残されていた、かつての能楽の名手たちの映像をDVDにしたもので、去年発売された第1集の続編です。

私は基本的に映像で能楽を見るのが苦手で、第1集が出た時もあまり興味を持たなかったんですが、今回は気になる名前がありました。それは「茂山彌五郎」。後に改姓して「善竹彌五郎」。狂言方大蔵流・善竹家の祖で、狂言方で初の人間国宝となった方です。

善竹彌五郎は明治16[1883]年生。士族の子として生まれますが、母親が二世茂山忠三郎良豊と再婚して、良豊の長男として入籍。養父に師事して狂言方となり、後に忠三郎家の分家として一家を成しました。昭和40[1965]年没。

私は能楽を観るにおいて、いずれかの流派や家に限定せず、できるだけ広く観たいと思っているのですが、それでも好みはあります。狂言でいえば私の好みは善竹家。これは能楽に出会った最初に見た狂言が善竹家だった、というのが一番強いかと思われます。それから私の中での狂言の「標準」が善竹家なんですね。その、今となっては伝説と言ってもいい元祖の演技を、映像で見ることができる。思わず興奮してきました。

強靭な基礎の上に独自のくふうと解釈を加味し、関西風の写実的・庶民的な芸風を完成、晩年は技量を広く認められ、狂言界の長老として重きをなした
『能・狂言辞典』より「善竹弥五郎」(執筆:羽田昶)

これだけ読むと、当代の茂山千作師のような芸風をイメージするんですが、『狂言三人三様 茂山千作の巻』などを読むと、また違った芸風のようですね。どんな芸なのだろうと、興味は膨らむばかりです。

実は知人に複数、善竹彌五郎の研究をされている人がいて、そこから影響されての興味なんですが…。買おうかな~?と真剣に検討中です。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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