著者の清田弘さんが昔、『観世』に連載していた能の曲それぞれの演技の解説「謡と舞台」から37曲を選び、単行本としてまとめたもの。
実際に著者が見た記録を元にしているだけあって、実に詳細です。『観世』に掲載されていたにも関わらず、観世流に偏ることもなく、ワキ方の演技に関しても細かく触れているのが特徴です。ただ文章が非常に硬くて(専門書としても硬いと思う)、軽く読むにはちょっとキツいです(笑)
特定の学派への迎合や一般的とされる「通行」へ安易に従うことを嫌い、様々な事項にしっかりとご自分の意見を持たれているがゆえだと感じますので、難点などではないのですけど…。
かなり稀曲と呼ばれるような曲も掲載されており、まだ見ぬ曲への好奇心がそそられます。普通に能を見るだけでは飽きたらず、細かい型の違いなどを知りたいマニアにおすすめの本(笑) 巻末に能『三山』に関する小論も収録されてます。
掲載曲
高砂 弓八幡 蟻通 雨月 歌占 梅 梅枝 鸚鵡小町 小塩 大原御幸[小原御幸]附「寂光院」 花月 柏崎 春日龍神 鉄輪 砧 小督 自然居士 春栄 正尊 隅田川[角田川] 関寺小町 卒都婆小町 大会 当麻 忠度 張良 鶴亀[月宮殿] 唐船 融 木賊 巴 橋弁慶・笛之巻 芭蕉 枕慈童[菊慈童] 別曲・枕慈童 松風 熊野[湯谷] 輪蔵 籠太鼓
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