花よりも花のごとく(3)

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成田美名子『花よりも花の如く(3)』白泉社、2005年

成田美名子さんの能楽師コミック第3巻。それぞれ『二人静』『石橋』『淡路』をテーマとした話があります。ストーリーはやはり淡々としているといった印象ですが、毎回能の魅力に改めて気付かされる描き方には感嘆を禁じ得ません。

能楽師を主役としているから能のマンガなのは間違いないのですけれど、成田美名子さんのマンガ全体に共通している、「人間」を描く作品なんだなぁ、と感じます。『二人静』の「思ひ返せば古も恋しくはなし」という言葉について、憲人さんと渡会さんが話すシーンを読んだ時には、思わず涙が少しこぼれそうになりました。このマンガはそれだけ私の感性が刺激され、同調してしまうんです。能を通じて、「人間」として演者が成長していくなんていいなあ。

また「大王 あめ玉 あんこ玉」の最初にある相葉匠人さんの舞囃子『野守』は、先代観世銕之亟師の遺稿集『勁き花』の巻頭写真を思わせるもので、懐かしい気持ちにすらなりました。『野守』は私も素人ながら舞わせていただいた曲で、特に思い出深いものだっただけに。その時に目標としたのが銕之亟師の写真でした…。

それにしても…憲人さんの妹の彩紀ちゃん、可愛い過ぎです!『Natural』の時からいいな~と思ってたのに、登場が少なくて悲しく思ってたところが『花よりも花の如く』になって登場が増えて、嬉しいです。初公開の着物姿はたまりません(笑) 楽ちゃんが彩紀ちゃんの姿を思わず探してしまう気持ちは分かるなあ…(^^;)

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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3件のフィードバック

  1. 「花よりも花の如く」1~3巻 著・成田美名子

    月刊漫画雑誌「メロディ」に隔号連載中。
    ほぼ1話完結で能の演目を掘り下げつつ、「その時々の能楽家・憲人さんの視点」で語られる、日常の物語。
    能への造詣は全く無い人でも、読んでて興味深い内容だと思います。
    伝統芸能「能」は、こんなにも厳しく苦しく、それ

  2. 碧穂 より:

    こんにちは、柏木さん。
    本日やっと、おNEWなブログにもTBさせて頂きました。
    メロディ本誌は買っていませんが、
    (他の掲載作品もコミックスで読んでたりするのですが)
    最新号の表紙の憲人さんの魅惑的なこと!
    ああ、4巻が待ち遠しいです。
    それと、今日はお願いに参りました。
    このブログと古代史HPにリンクさせて下さい。
    …いや。これ送信したらリンク貼ります~~!(おい。)

  3. 碧穂さん。こんにちは~。
    コメントありがとうございます。
    メロディ最新号の憲人さん、話題になってますね。
    結局本屋で見るのが恥ずかしく、白泉社のサイトから
    メロディの表紙画像を見ております(笑)
    リンク、ありがとうございます~。
    こちらからも折り返しさせていただきますね(^^)