初めてお茶会に行きました

『笑う大天使』に見える「お茶会」

私にとってお茶会といえば、なんといっても川原泉さんのマンガ『笑う大天使(ミカエル)』

──まず 紅茶はフォートナム&メイスンのダージリン
むろん英国王室御用達のマッピン&ウェッブ製の
銀の紅茶セットに、ロイヤル・ウースターのボーン・チャイナ
正統アフタヌーン・ティーにふさわしく品の良い軽食
サンドウィッチ フルーツ・ケーキ クッキー スコーン マフィン
会話は乙女好みの文学・音楽… 詩の朗読… 聖書について…
スミレの花びらの砂糖漬けやプチ・フールをつまみながら
茶を飲めば フランス窓に揺れるそよ風 高級カーテン
単行本『笑う大天使(ミカエル)』2巻16ページ

川原泉さん一流のこの描写の直後に、主人公の三人組がぶぶーっ なんだよ そりゃ~と爆笑してるんですけれどね(^_^;) その後で『茶会』ちゅーもんに招待されたんだけども何着てけばよかろーか?茶会? お茶の席といえば着物でしょう やはりなんて会話があります。

そんなわけでお茶会へ行ってきました

…と長い前フリでしたが、先日、お茶会に誘われて行ってきました。といっても、「乙女好み」な方ではなくて「着物でしょう やはり」な方のお茶会、茶道のお茶会です。流派は裏千家だとか。

私がお世話になっている能楽師の方に、茶道の先生が謡を習ってらっしゃるんですよね。その繋がりでお誘いを受けました。会場である大阪市内の某寺に参ると、そのお茶の先生、茶名といって千利休以来の通字である「宗」を含んだ名前を名乗ってらっしゃいました。うわー、普通のおっちゃんだと思っていましたが(失礼)、実は凄い人だったのかも…。

お茶会が始まるまでは、控え室のような場所で「楽にしていて下さいね」と言われましたが…無理です(汗) その日使うお道具の箱が、箱書きが見えるように並べられたりしていたので、しばらく眺めていましたが、箱書きの文字を読めず、それぞれの箱に何が入ってるものか想像も付きません(^^;) 結局、部屋の端っこで固くなっていました。

いざお茶会が始まると、お茶の先生が簡単に挨拶。今回のお茶会は能《紅葉狩》をイメージしたものだ、ということで、紅葉関連の柄のお茶椀などを使うとのことでした。実際、私がお茶をいただいた茶碗は、紅葉と流水と一緒に描かれている「竜田川」の柄。うん、これぐらいはまだ分かります。能の扇などにもありますしね~。

しかし、その続きになると「箱書きがどーのこーの」「○○斎ではなくて、○○斎が…」…すみません、全然分からなかったです(^^;) 茶道って深いんですねぇ~。

謡もあり(私も謡わせていただきました)

今回は特別な趣向ということで、私と一緒に行った能楽師の方が《紅葉狩》の最初の次第~上歌まで謡われました。先づ木の下に立ち寄りて。四方の梢を眺めて暫く休み給へやと謡い終えると、奥から紅葉の柄の着物を着た女性がお茶を持ってきてくれます。

そして、お茶をいただいたのですが…このような場でお茶をいただくなんて初めての話で、作法が全く分かりませんでした。逐一隣のおばちゃんに教えてもらって、なんとか。常に緊張しっぱなしでしたので、お茶もお菓子もあまり味を覚えてません(汗) お茶碗を拝見しても、今ひとつ分からないし。

お茶会の最後にも再び《紅葉狩》の謡。不思議や今まで在りつる女から最後まで。こちらは私がワキ謡を担当させて頂いて連吟で。それまでの緊張のせいか、それだけ謡っただけで汗だくになってました。まあ、謡は本気で謡わなきゃ意味がないですけれど。

謡が終わった後は、お茶の先生に簡単に挨拶して、さっさと出てきてしまいました。正直、肩が凝って疲れてしまったのです。お茶を飲んだのに、近くの喫茶店でコーヒーを飲み直してましたし(笑)

でも、興味深い体験をさせていただいたように思います。もっといろいろ知っていれば面白いのでしょうね。

しかし、帰り際に言われた言葉「今回のようなのが、一番気楽な会なんですよ」。…ホンマですか? 恐ろしやお茶会(笑)

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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9件のフィードバック

  1. ami より:

    本格的なお茶事は四時間ぐらいでしょうか
    ずっと座りっぱなしです
    途中で一度だけお外に出られます
    お誘いしましょうか・・・
    紅葉狩のワキをすぐできるところがすごいです
    恐ろしやゆげひさん

  2. みゆみゆ より:

    私は祖母とその姉妹(大叔母)がお茶をやっていて、
    先生もやっているんですが、よく誘われます。
    最初にお茶会(たぶん本格的なのではないでしょうが)
    に参加した時は、右も左も分からず、隣の人の真似(笑)
    あげくの果てに、正座でしびれて立ち上がれないわ^^;。
    今も、お花も含めて、お茶を習いたいと思っているのですが。

  3. amizあみ より:

    ゆげひさん、ほんっとに
    おつかれさまでございましたm(__)m
    いきなりのお席では
    どなたでも緊張の連続ですよね~笑
    後でお茶がわかってくると
    何年後であっても 顔がカーっと赤くなったりします・・
    えぇ、私だってありましたさ。今もってよくあります(^o^)

  4. 挿頭花 より:

    こんにちは、柏木さん。
    私も数年前、大学での花見茶会なるものに参加したことがあります。
    後輩に茶道部の子がいて、「気楽な会ですし、先輩もどうぞ~」の声にのこのこと茶室に上がったものの・・・。
    道具の説明って、ホント、分かりませんね~。
    誰のいつ作か、とか、由緒を説明されても、その価値がまったく分からず・・・へぇ~としか・・・。
    色柄に特徴があったりすれば何かコメントも出来るのに、お茶道具って、渋いものばかりですし。
    足も痺れて、へろへろと退散しました。
    その後、外で出されたハーブティーの方が印象に残ってます(笑)

  5. ★amiさん
    本格的なものになると、4時間もあるんですか~!
    正座は弱くて…。
    最長記録は能の地謡のために、1時間ちょっとですから。
    お誘いは、もっと経験を積んでからお願い致します(笑)
    『紅葉狩』のワキの謡、すぐはできません。
    当日に聞いて、慌てて覚えたんです。
    謡う部分だけ(笑)
    ★みゆみゆさん
    私も隣の人のまねというか、教えて頂いたことを
    やるだけで精いっぱいでした。
    というか真似しているつもりでも、
    「違うよ」と注意されたり(笑)
    習ったら面白いんだろうなぁとは思います。
    でも、それだったら能楽の違うことも習いたい。
    (狂言とか、太鼓とか…)
    ★amizあみさん
    「お茶会」という響きで、気楽なものだと思っていたんですよ。
    したら、前日になって「正装で来てな~」と言われ、
    びっくりしたものでした(笑)
    着物好きですが、超初心者が着物はおこがましいと思い
    スーツで行きましたけれど。
    分かれば面白いんだろうなぁ、と思いました。
    ★挿頭花さん
    茶道って、お道具との関連が深いですもんね。
    能もそうなんですけれど、あくまで演者のほうの問題で、
    客であるこちらまで普段説明されたりしませんし。
    ある程度以上になると、道具の名前も使われ方も分からなかったりして。
    作者だ、由緒だになるとちんぷんかんぷん。
    渋いというか、侘び寂びの世界ですもんね。
    でも、分かれば面白いんだろうな、というハマり要素はちょこっと感じました(笑)

  6. 多聞 より:

    はじめまして いつも楽しく拝見しています。
    お茶好きの私にとって、考えさせられる内容です。
    (もちろん、お茶だけでなく、お能も好きです)
    個人攻撃になるのは好みませんので、あくまで一般論で
    読んで下さい。今回の場合だけでなく一般に、どうも、
      招くお茶人の側が、招かれる側の人を理解していない。
      理解しようと努めていない。
     皆喜ぶものだという、勝手な思い込みの世界で生きている。
     客の前で演じる自分、見せる道具に、自己満足している。
    ということなのでしょうか。
    しかし、お能に招かれた人が、「退屈で退屈で辛くてしょうが
    なかった」という感想を漏らしたら(漏らしがちだ)どうか。
    何が問題だったのだろう。
    お茶の客とお能の客の辛さは同じか?
    同じなら、それは何?
    違うのならば、どう違う?
    同様に、お茶の客とお能の客の楽しさ喜びは同じか……?
    良いテーマを頂きました。
    これからゆっくり考えてみたいと思います。
    ありがとうございました。

  7. ★多聞さん
    初めまして。コメントありがとうございます。
    お茶好きで、お能も好きだなんて、良いですね。
    私、「固くなっていた」「緊張した」「肩が凝った」と
    書いたのは正直な感想ですけれど、それでも
    私にとって新しくて知らない世界を、少しでも
    味わえた時間だったので、行って良かったと思っています。
    そんな深く考えられるようなものではないですよ(^^;)

  8. 挿頭花 より:

    私も、決してつまらなかったり、嫌な思いをしたわけではなく、行って良かったと思っています。
    お茶席って、お茶を飲んで世間話をするだけなのではなく、部屋のしつらえ(掛け軸や花)やお道具の説明をするということを知らず、またこちらもそれらに対する知識がないものですから、少し戸惑ってしまったということです。
    お茶をたてる所作って、無駄な動きがなくて、優雅ですよね~。色々な「決まりごと」も、理に適っていると、件の後輩が話してくれました。(そこで能を連想した私・・・笑)
    長々と失礼しました。
    それにしても、柏木さんが正座が苦手って、意外です。

  9. 柏木ゆげひ より:

    ひとつのテーマを決めて、そのために掛け軸や花などにも
    気を配って、それを見せるって、ホント素敵ですよね。
    それを十分に受け止めることができなかった自分は残念に思いますけれど。
    「決まりごと」も、理に適っている。
    能の仕舞を習っていると、(流派ごとにでしょうけれど)
    たとえばどちらの足で歩み始めて、どちらで止まるのかなど、
    初めは戸惑うばかりでしたけれど、ある程度慣れてくると、
    ホントよくできているな、と感心するばかりです。
    茶道にもそういう部分があるのでしょうか。
    正座は得意じゃないです。好きなんですけれど。
    大鼓の稽古に行くと、最近は長い曲をお稽古していただくこともあって、
    稽古を終えると、まともに立てなくなっていることが多いです(汗)