初めて参加した能楽の研究会

会議室の中をうかがう

写真は「会議室の中をうかがう」イメージです(^_^;)

以前、神戸女子大学古典芸能研究センターに行った時、研究員の方とメールアドレスの交換をしました。それ以来、関西の能楽研究者の方々が月一回集まって催されている勉強会「六麓会」の案内をいただくようになりました。

前回11月例会の日程はちょうど休みだったので、少し覗いてみようかなと思い、その旨をメールにて連絡。初めて参加させていただきました。ただ、その顔を知ってくださった研究員の方は大学のご用事で今回は欠席とのこと。ちょっと不安に感じつつ、会場に向かいます。

少し迷ったものの、時間ギリギリに会場へ到着。入りかけて凍ります。会場は小さな会議室で、中にいるのは十数人の少人数。でも、入口から見て正面にいらっしゃるのは、関西で能楽研究と言えばこの人(だと私は思っている)である、大阪大学教授の天野文雄先生がご鎮座なさっているじゃないですか~!

畏れ多くて、思わず回れ右をしてしまう私…。

すると、後ろからやってきた人に「能楽の研究会ですが、どうぞ」と言われてしまいます。というわけで、逃げられず。奥から私の出身大学の教授も出ていらっしゃって、「ああ、聞いてます。どうぞ」と椅子を勧められてしまいました。

でも「柏木くん、神戸女子大学の方にではなくて、直接私に言ってくれたら良かったのに。水臭いね」と言われてしまいました。教授は顔は知ってはくださっているものの、直接の指導教員でもいらっしゃらないので、それも遠慮を感じていたからでした。

レベルの高い発表が2本

その日の研究発表は、世阿弥伝書の言葉とその背景に関する発表と、某大名家の文庫にあった能や狂言資料の紹介でした。

世阿弥伝書の言葉に関する発表は、元が禅宗の言葉ということで、室町時代の日本の禅宗はもちろん、中国の禅宗の歴史や問答集、その問答の元ネタになったらしい古いお経にまで話が及んで、研究者ってのはそこまで勉強しなきゃアカンのか~と、畏敬の念を感じるばかり。

大名家の文庫のほうは、その写真のコピーが回覧されましたが…江戸時代の文字なんて読めないです…。ただ眺めるだけ。私が大学でやってた奈良時代~平安初期は古文書も楷書ですし、それ以外の時代は専門外なので。活字になった資料しか使わなかったので、くずし字を読む勉強をしなかったことが悔やまれます(^^;)

でも、多少は理解できる部分もあり、とっても勉強になりました。また休みが取れたら行きたいものです。特に12月は、ミニ発表大会だそうで、一人持ち時間10~15分でひたすら発表が続くそうなので楽しそうです。

恐怖(大げさ)の自己紹介!?

ところで、二つの発表の間の休憩前に「それでは、新しい方に自己紹介をしていただきましょうか」と話が振られて戸惑いました。私、研究者ではありませんし、院どころか学部でも能楽の勉強をきちんとしたことがないので(学部は日本古代史で、伊勢の斎宮が卒論のテーマでした)、何を言ったら良いのか分からなくて。

そこは出身大学の教授が助けてくださりました。仰ったのは「能楽部で実技をやっていた人で、今も稽古を続けている」「他学科ながら教授の作品研究の講義に出席して、国文学科生より優秀なレポートを出してくれた(そこは買いかぶりだと思うんですけど)」「インターネットで能楽のサイトを作ってる」。そんな紹介でした。ありがとうございます。

終了後は、毎回恒例だという飲み会にお邪魔させていただきました。向かいの方とインターネットのサイトの話から、向かいの方がWikipediaでよく活動なさっているという話を聞いて、「織田信長」の項にある猿楽(能)を嫌ったという文章が納得いかない、という話で盛り上がりました。

「梅若大夫を叱責した記事が『信長公記』にありますし、幸若舞の方を好んだかもしれないけれど、『能を嫌った』とはいえないですよね~」と。なんてマニアックな会話なんでしょう(笑) なお、現在では「嫌った」の記事は削除されたようです。

Pocket
LINEで送る

柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

オススメの記事