レポートのため古代の歴史書『日本後紀』をめくっていたんですが、そうしたら
「伊勢斎宮の新嘗会を停む。但し歌舞伎を以て九月祭に供す」
(『日本後紀』延暦18年7月7日条)
なんて文章を見つけてしまいました! 見事に「歌舞伎」の文字! 延暦18年は西暦でいうと799年ですから、今の歌舞伎とは全然違うものを指していることは間違いないのですが…。
7世紀から14世紀にかけて伊勢の大神に仕えた未婚の皇女の宮殿「斎宮」では様々な神事が執り行われていましたが、その中の「新嘗会」という行事が停止され、代わりに9月に伊勢神宮で行われた神嘗祭で「歌舞伎」を供することになった、という記事なんですけれどね。
しかし、この「歌舞伎」ってどんなものだったのでしょうか。古代の芸能といえば雅楽。でも最後の文字である「伎」は、滑稽な様を表す漢字ですから少し違うような。古代の芸能には「伎楽」というものがあり、滑稽な物だったらしいですが…。
でも、伎楽は日本では仏教舞楽なんですよね。そして斎宮は仏教を嫌います。斎宮には「忌詞」といって言葉のタブーがあるんですが、仏教語はそれに含まれていて、言い替えがなされていたぐらいですから。仏像は「中子(なかご)」、お経は「染紙(そめかみ)」、お寺が「瓦葺(かわらぶき)」。僧侶のことを「髪長(かみなが)」と呼ぶのは皮肉っぽい(^^;)
幻の古代「歌舞伎」。分からないなりに、いろいろ想像するのは楽し…。
799年に歌舞伎っ!
その頃に有って、後に絶えた「歌舞伎」って芸能が有ったんですね。知りませんでした。
「歌舞伎」という名前の芸能だったかはよく分かりません。
なにせ、他に「歌舞伎」の文字の用例を知らないもので。
「歌」と「舞」と「伎」と、
それぞれ別物という可能性もあります(笑)