打って謡って楽しい半日―大鼓堪能その2

大鼓図byきょうらんさん

打って謡って楽しい半日

「その2」と題していますが、「その1」は1年半ほど前の話です。

今から書くこともすでに半月ぐらい前の話になってしまったのですが。友人で、大鼓を持ってらっしゃる方のお宅に遊びに行き、半日大鼓を打って遊ばせていただきました。

前回は私の手元にある限りの手附を持参して、目についたものを片っ端から謡って打って、という遊び方だったのですが、今回は事前に曲を決めて、多少は準備してから臨む、なんて計画。決めた曲は《経政キリ》《鵜之段》《笠之段》《天鼓キリ》そして「大小楽」。私が謡う曲として《屋島》。

またまた手が腫れるまで打って打って。時に謡って。合間には能の話をして。大鼓の胴や皮を実際に手にとって見せていただいて。とても楽しくて充実した時間でした。私って、やっぱり能が大好きだなぁと楽しい一日でした。

「全力で遊べなかった」ことを反省

しかし…せっかく曲を決めたものの、当日までにしっかり覚えきれなかったことが残念で残念で。結局手附(譜)を見ながら打つ、なんてことに。正直カッコ悪いです。謡っていただいた謡が普段慣れている観世流ではない流派のものだったこともあり、ある程度は仕方ないにしろ。「大好きな遊び」にも全力で臨めなかった自分が情けないです。

笛を取り出されて「男舞」をやってみようか、なんて話にもなりましたが、小鼓の相手なしでは、私の大鼓のノリが悪くて上手く行かず、結局途中で終了。大鼓を習い始めて6年目。一通り舞の曲を稽古し終えて、多少は難しい曲もお稽古いただくようになり、どこか「自分はできる」気になっていたのが、見事に「ヘタクソ」であることを実感しました。稽古場では師匠のアシライ、素人会ではお相手下さる先生方に助けられて、やっとなんとか形になっていたんですね。

大鼓と謡を交代して、私が謡った《屋島》もシテ謡と地謡の掛け合いの間が詰まってしまったり。自分が地拍子がアヤフヤだからなのですが、反省です。能楽師のプロの謡を聞いてると、なんでもないように聞えますが、すごいんだなぁと。

でもやっぱり楽しい

しかし、ひたすら打って謡うことは本当に楽しかったです。昼過ぎから打ち始めて、気付けば外が暗くなっていました。終了後は、地元名物というラーメンを食べに行って、また能の話。とても楽しい1日でした。また機会があれば良いなと思います。多少は大鼓も謡も上手くなれるよう努力します。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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3件のフィードバック

  1. ももたろ より:

    大鼓で遊ぶ、、、とってもうらやましいです。
    胴を見るとついつい、美術面から蒔絵や鉋目に目を奪われてしまいますが、胴によってやはり音の良し悪しも変わるのでしょうね。
    乳袋に古態をあらわす、、、というと技巧的でなくてシンプルな形なのでしょうか?
    うーん、本物かどうか、気になります(笑)

  2. 挿頭花 より:

    こんばんは。
    うわ~、すごい遊び方ですね。
    翌日は手が使い物にならなかったのでは(笑)
    6年も大鼓をお稽古されているのですね。
    何曲くらいレパートリーがあるのですか?

  3. ★ももたろさん
    ある程度お稽古が進んでくると、お稽古以外に
    個人的に能の分かる仲間内で遊ぶのも楽しくなってきます。
    他流と比較してなんて、よくやってました。
    「他流の謡で舞う」まで進んでいれば良かったかも(笑)
    私は鼓胴もロクに分からないのですけれどね(^^;)
    大倉源次郎師の『小鼓』という冊子を読むと
    鼓胴の作者と、能面作者で重なっている人物もいるようです。
    乳袋の形状は…お椀状になっている部分の深さが
    変わってくるんです。全体的な傾向として。
    時代によって、求められる音の響きが変わって行ったんでしょうね。
    ★挿頭花さん
    後半は、正直手が痛くなってましたが、
    それでもせっかくの機会だからと、打ち込んでました。
    でも、別に手が使い物にならないわけではなく…。
    学生だけの素人会で、大鼓を5~6番打った時も
    水で手を冷やしたりはしましたが、
    終了後の宴会では、右手が大活躍でしたもんね(笑)
    お稽古していただいた曲数は数えたことはありませんが
    …50を越えてるとは思います。
    ただし『花筐』のキリだけなど、曲の一部分しか
    お稽古受けていないものもありますし、
    最も長くても舞囃子(というか居囃子)の部分だけですので。
    今の『通小町』の舞囃子が終われば、番囃子
    (能一番の謡と囃子だけを通すもの)の稽古に入ると
    伺ってますので楽しみです。
    ただし『通小町』にかなり苦戦してますが(笑)