前田和子師『石橋』披キ

 一般から能楽の道に入られ、去年シテ方観世流の準職分に認定された女性能楽師・前田和子先生がその記念に来月の12日(日)、ついに『石橋』の披キ(初演)をされることになりました。とにかく、めでたい!

 能『石橋』は、現世と文殊菩薩の浄土の間に石橋の上で、霊獣である獅子が舞い戯れるという話。あらすじよりも能楽師が全力で舞う獅子の舞が見どころで、能の中でも最も激しく勇壮で、かつ豪華な曲です。

 「大獅子」の小書がつくと紅白の獅子が二頭登場して、白獅子はどっしりと重々しく、赤獅子は激しく敏捷に、と対照的に動きます。めでたい演目でもあり、能楽師にとって一つの節目を為す曲でもあります。

 前田先生は何かといろいろお世話になっている方ですので(能楽WSの復曲能『巴園』の時もご自身で前場に出演され、更にその後、出番を待つ私の世話をして下さいました)、私も拝見しに行く予定でいます。何よりもやっとの『石橋』披キということで、私まで喜ばしい気持ちになってしまいます。

 相手の白獅子をつとめられるのは師匠の山本博通師。記念の『石橋』も、山本博通師が指導されている素人社中「正花会」の最後に演じられるものです。素人会の延長ということで入場無料でもありますので、もし予定の空いている方は是非。

前田和子 準職分認定記念(正花会大会)
◆3月12日(日)17時頃 於・山本能楽堂(大阪市中央区)
★お話 藤田六郎兵衛 ★独調『吉野天人』中田一葉・中田弘美
★観世流半能『石橋-大獅子』
 シテ(白獅子)=山本博通 ツレ(赤獅子)=前田和子
 ワキ(寂照法師)=福王和幸
 笛=赤井啓三 小鼓=清水晧祐 大鼓=山本哲也 太鼓=三島元太郎
●入場無料
<問い合わせ先>山本能楽堂 06-6943-9454

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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5件のフィードバック

  1. 木白山 より:

    少し前のコメントで話されていた、女性能楽師の方ですよね。
    凄いなぁ。石橋の披キですかっ!!
    女性のシテも、石橋もまだ観た事が無いので、舞台を拝見させて頂きたい所ですが、遠いですね(;ー;)
    しかも、入場料無料ですか!!
    関西に住んでたら、絶対いきました私っ!!

  2. 木白山さん、こんばんは。
    そうです、その人です。能楽師になられて10年。
    やっとの『石橋』のお披きなんです。
    番組が手元に届いて、もう書かずにはいられない!って感じです。
    無料なのに、笛方藤田流宗家の藤田六郎兵衛師のお話と
    太鼓方金春流の中田弘美師親子の独鼓もついて豪華になってます。
    是非関西遠征で!(←んな無茶な)

  3. 新たなスタート

    大学時代のクラブの同級生が、プロの能楽師で、

    (ちなみに、プロの狂言師になった同級生もおります。)

    彼女が準職分に認定された記念の会にゆくべく、昨日は久々に大阪へ。

    お能の前に、名古屋が誇る、お笛の藤田六郎兵

  4. Petit Light より:

    はじめまして。(いや、もしかしたら、お見かけしてるかも…。)
    前田氏の石橋についての記事だったので、トラックバックさせてください。よろしくお願いします。
    ところで、こちらのサイト、楽しいですね~。^^
    今は名古屋に住んでいるので、
    年に数回しか関西へは行かないんですけど。

  5. Petit Lightさん、はじめまして。
    確かに当日、山本能楽堂に私も参ってましたから
    お見かけしているかもしれませんね(^^)
    本当にステキなお舞台でした。
    サイトが楽しいと言っていただけてありがとうございます。
    もし機会があればまた関西にいらして下さいね。