能・狂言の見方

 私はいわゆる能楽オタクな人間ですが、時々自分を変に型にハメて能や狂言を見てしまっていることに気付きます。でも、本当は私はもっと素直に「楽しみ」たい。あまり最初から変な思い込みを持たずに、面白いものを面白いと感じ、そうでないものはそうでない、と素直に感じたい。

 知識はあると楽しみの助けにはなるでしょうが、本当に必要だとは思いません。能や狂言には知識で分かる楽しみの何倍も大きい、「感じる」楽しみがあり、それこそが醍醐味だと思います。

 そこには「伝統」だとか「式楽」だとか、そんなことは関係なく、ただ舞台での演技があるだけ。能や狂言は固定化しているように見えても、実は各流派・各家・各演者、極端に言ったら同じ演者であっても時によって様々で、見る立場には「かくあるべき」なんてものはないと思うのです。「かくあって欲しい」という好みにはあったとしても。

 あくまで素人・愛好家であることを忘れずに、謙虚に、素直に楽しみたいものです。感想を書くことはあっても、評論家めいてあんまり偉そうな物言いはしたくないです。私が書いているのは批評なんて偉いものではなくて、単なる私という一素人の感想に過ぎないのですから。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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4件のフィードバック

  1. Nitta より:

    管理人さん、どうしたんですか、改まって(汗)。
    能狂言も、好きになればなるほど、「こうあって欲しい」という希望は出てくるでしょうし、その期待と希望が募れば、感想を書く時にも自分の思い入れが出て、それが感想における個性になると思います。
    楽しむことは基本としても、素人からもいろんな批評が出てくることは、能狂言の世界にとってもプラスと思いますョ。
    私からすると、柏木さんのように求道的に能狂言の世界に接していかれる人は羨ましいですよ。

  2. Nittaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
    いや、感想はこれからも書いていきたいと思っているのですけれど…あんまり批評家気取りな物言いはしたくないんです。中には、この人は能を見て、ケチつけることが楽しみなのではないか、と思ってしまうような方もいらっしゃいますし。私自身、以前からそういう人があまり好きではないですが…感想を書いているうちに自分が思い上がっていないか?と強く感じたもので。
    私にはプロの能楽師にも、プロの批評家にもなるつもりもないですから、「素人」なりの道があるように強く感じて、こういうことを書きました。ましてや私は師匠に能をお稽古していただいている身ですから、より謙虚であるべきかと。
    本当はブログですから、他の方向けのことを書く場なのですが、これは完全に自分向けの文章です(^^;) そういう意味では本当に申し訳ありません。

  3. peacemam より:

    「いわゆる能楽オタク」・・・妙にうけました、これ(笑)。私はそうだな~、オタクではないかもしれません。能に恋してるっていう感じかな。
    「理論的な部分」と「感情的な部分」って誰でもあるでしょう?そういう大きな分け方の他にも「目」「耳」「肌」「頭」「心」色々な部分が人間にはあって、多面体ですよね?そのどの部分で受け止めようとそれはその人の自由なんじゃないかしら。もちろん同じ人が(例えばゆげひさんが)ある日は目で見て感動して、次には頭で色々考えて見て、またその次はどすんって身体で感じても全然おかしくないと思います。それはもう、他の人がとやかく言えることではないでしょう。
    私は恋するお能さまになかなか振り向いてもらえなくて、でも「私はココよ」って言いたくて書き残してるんだと思いますね。スタンスはそれぞれですよね。ただ、こんな風に誰の目に触れるかわからない場に書くということは(私も含めて)「責任を負う」覚悟もないといけない、とは思っています。それはブログに限らず、生きていく上で、どこでもいつでも自覚していないといけないことですけれど。

  4. peacemamさん、コメントありがとうございます。受けましたか?別に受けを狙った文章ではないんですけど(^^;) 能に恋?私は能や狂言に対して恋愛的な感じはしないです。
    この文章は、突然ながら強く思ったことを、指の赴くまま書いたって感じです。能や狂言にしろ、いろいろな見方があって良いと思いますし、それは私内部でもいつも同じではないです。ただ、こういう見方は「私は」好きじゃない、というのが、はっきりして、私はそうはなりたくない、けどなりつつある部分もあるのではないか、という思いの発露ですね。
    私は書き残しているのは記録と自分の中での整理、あと書きながら理解し直しているところもあると思います。
    責任、そうですね。無責任には書きたくないです。本名ではないですが「柏木ゆげひ」が書いているってことはしっかり示して、受け止めていきたいですね。能や狂言、ネットに限らず責任は果たさなきゃダメ。当然のことなんですが…自分も果たせてないですね~。