狂言 伝承の技と心 (七世)野村万蔵 平凡社 1995-07 by G-Tools |
七世野村万蔵(=現・野村萬)師が、狂言のそれぞれの曲について、経験を通しての解釈や演技について書かれた本を読みました。
曲別に書かれた狂言方の本は他にもありますが、初心者向けにあらすじの紹介が多いような気がします。しかし、この本ではあらすじは本文の外に少し書かれているだけなので、狂言の知識がある程度なければ読みにくいかもしれません。私も見たことのない曲(特に和泉流にしかない曲)は少し分かりにくい部分がありました。
しかし、狂言の歴史の上での台本や演出の推移や、曲成立時の社会背景などへの考察、謡や囃子、能会での狂言、そして歌舞伎舞踊との関わりまで話があって、多分に私好みな本でした。
特に囃子に関する話は、私が囃子の稽古を受けているだけに楽しかったです。狂言方がつとめる演目で本格的な囃子が入るのは「三番三(三番叟)」ぐらいで、他はアシライといって、失礼を承知で書けば、なんだか気の抜けたような演奏が行われます。
能と同じように囃せば良いというわけではないでしょうし、そういう習いなんでしょうけれど、萬師が「能の囃子が同じ次第や一声で、パターンはあっても曲ごとに位取りが違う。そういうことが、狂言のほうでも考えられ改良されてほしいものです」と書いてらっしゃるように、狂言の囃子は能に比べると、ちょっと全体的に工夫が足りないように、観客の立場でも感じるのです。
狂言方大蔵流の善竹忠亮師のブログでも、能『車僧』の間狂言について、囃子との関わりのことが書かれていました。シテ方にない「合って不合の間」の謡があるそうで…。当日は私も拝見しましたが、こんな拍子当たりがあるんだ、と楽しかったです。ご本人にとってはいろいろと大変だったようですが…。
しかし、狂言方の演目で囃子が効果的に扱われるものって、どんなのがあるのでしょう。「三番三」と能『車僧』の間狂言のほかには、能『船弁慶』の波頭、笛の音に惹かれて女性が現れる狂言『吹取』、神楽を舞う『石神』…思いつくのは多くないですね。
面白そうですね!表紙のうさぎさんもかわいいし。肩衣?
今度読んでみます~。
私が初めて拝見した和泉流の三番叟は野村萬さんでした。
能楽堂ではなくフェスティバルホールでしたけど
とても素敵でしたよ!
あんまりよく覚えてないのですが映像で「竹松」という曲を
一度だけ見たことがあります。確か鼓を打つ場面があったと
思います。どうも復曲のようですね。
ややや、見覚えのある表紙…
以前古本屋で買ったものの、まだ読むに至っておりませんでしたが、とても興味深いですね。
確かに、狂言方のお囃子ってあまり思いつかないです…
三番叟のお囃子は、一度聴くとしばらく頭の中でぐるぐる回るぐらい印象的ですが、それ以外に聴いた覚えがあまりありません。
今度、是非読んでみます。
★こっこさん
表紙のうさぎさんは、他の本で見ましたが「三つ兎」の肩衣です。
狂言の肩衣って本当にいろいろなデザインがありますよね。
私が野村萬師で印象深いのは、『寝音曲』の太郎冠者。
和泉流の三宅派では『海人』を舞うんですが、
それがカッコ良いんですよね~。
酔ってるにしては、激しい舞ですけれど(笑)
狂言で、鼓を打つ曲なんてのもあるんですね。
羯鼓ではなくて、というのは面白いです。
★ももたろさん
狂言の台本などを読んでいると、最初に
「笛・小鼓・大鼓」と書いてあったりする場合も
結構あるんですよ。
でも能とは違って、曲全体を囃すというのはほぼありません。
例えば、大曲『釣狐』でも、最初の次第を囃して、
そして最後に笛だけがシャギリを吹く、なんて形なので。
ですから、常の曲だと囃子を省略して演じられることも
多かったり、面倒なので囃子を使う曲自体が出ない傾向も
あるみたいなんです。台本を見てると「この曲も、本当は
囃子が入るんだ」と意外に思うことも結構ありますよ。
『船弁慶』好きとしては、船頭の語りにあわせて
大小鼓が波を表す間狂言も好きですね。
「波よ波よ波よ波よ、叱れ叱れ叱れ叱れ、しししししし…」
図書館で借りてきました。今週から来週にかけて忙しいので読めるかどうか不安ですけど頑張ってみます。
↑ももたろさんあてのコメントが私あてになってますよ~。
★peacemamさん
私など図書館で借りても、全然読めていない本ばかりです。
今も目の前に数冊積みあがっている…(汗)
コメントの宛名のご指摘ありがとうございます。
早速訂正させていただきました。
…何間違ってるんだか(^^;)