父と息子・執念の吉野ヶ里

B000068WJO プロジェクトX 挑戦者たち
王が眠る神秘の遺跡 – 父と息子・執念の吉野ヶ里

NHKエンタープライズ 2002-07-26
by G-Tools

 先日、近所で新しくレンタルビデオ店が開店し、オープニングセール中。なんとレンタル1本10円! とりあえず、借りてみるかという気分になって、制限ギリギリの5本まで借りてしまいました(笑)

 で、借りたのが上の『プロジェクトX』。佐賀県吉野ヶ里遺跡の保存問題を扱ったものです。前に取っていた考古学の講義の先生が橿原考古学研究所の現役研究員でしたから、遺跡保存問題の話もして下さったのですが、基本的に今日本中で行われている発掘調査というのは、何かを建設する際に文化財保護法に基づいて行われるもの…つまり、「破壊することが前提の発掘調査」なんですよね。

 特に古代史専攻の人間として抜かせないのが、奈良時代の左大臣・長屋王(?-729)の邸跡の話。これも奈良そごう出店に関連した予定地の調査発掘だったのですけれど、「長屋親王」木簡ほか、貴重な遺物や遺構が大量に出土し世紀の発見と騒がれたにも関わらず、結局建設が押し切られ遺跡は破壊されました。もっとも2000年に閉店、2004年にイトーヨーカー堂奈良店になるまで廃墟同然だったらしいですが(^^;)

 まあ、建設側の言い分もあるとは思うのですけれど、歴史学生としてはやはり遺跡など文化財の破壊は絶対に嫌です。吉野ヶ里遺跡は、当時の佐賀県知事の理解などもあって、残った幸運な遺跡なんだな、と改めて思った『プロジェクトX』でした。中にあった「遺跡で飯が食えるのか」という言葉。全くその通り、食べて行けませんもの。

 それにしても、『プロジェクトX』って、気分が落ち込んでいる時に見ると「人間は最後まで努力する事が大切なんだな。よぉしお父さんもまた明日から頑張るぞ~~~」(川原泉『レナード現象には理由がある』より)という気持ちにさせられるなぁ、とつくづく思いました(笑)

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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