5月6日(金)にテレビ東京系で放送された『たけしの誰でもピカソ』の、「人間国宝狂言師・四世茂山千作特集!」のビデオをやっと見ました。
京都大蔵流狂言方・茂山千五郎家の頂点に立たれる茂山千作師。息子の茂山千三郎師と孫の茂山正邦師に呼び出され、『福の神』としてスタジオに登場。出演者の方が「笑い声をケータイの着メロにしたい」と言ってましたが、それには同意。ホントに「笑う門には福来たる」という言葉通りになりそうな、めでたい笑い声です(^^)
京都にある茂山千五郎邸の映像も出ていましたが、やっぱり純日本家屋なんですね。鯉に餌をあげる千作師が似合いすぎです。千作師の初曾孫・莢ちゃんの初節句でも、「笑う門には福来たる」と大笑いでした。
蔵の中の映像もありましたが、特に耐火構造になっている部分に置かれているのが狂言面。『靱猿』の小猿、『釣狐』の狐、『翁』の黒色尉…。やっぱりステキですね。スタジオにもいくつかの狂言面が登場しましたが、千三郎師が狸の面を持つと、千作師が『狸腹鼓』の解説。来月に催されるTOPPA! FINAL STAGEで、千三郎師が『狸腹鼓』を披かれることを思い起こし、とても楽しみです。
狂言装束の解説もありましたが、彦根藩井伊家にお抱えだったころ、姫の内掛けを拝領し、それを狂言装束の縫箔として仕立て直したものもあるんですね。大名の姫君が袖を通した着物が装束として今も生きている、その不思議を感じました。
続いて、八世茂山久蔵による秘書『大蔵流大儀大事』が登場! 「一子相伝 大極秘 他見無用」と表にデカデカと書かれていました。当代の千五郎師が十三世ですから、五代前のお方、ということになりますが、千作師いわく「中に何か書いてあるかというと…そないに大したもん、書いてありゃしまへん」と、例えば『釣狐』の罠に手をつける回数や場所について書いてあると、内容を暴露(笑) …秘伝ってそんなものでしょうけど、ね。
狂言全体の解説から移って、千作師の紹介。去年末の85歳の誕生日に映像が流されます。千作師の本名の「七五三(しめ)」は確か、年末に生まれたことに由来するんですよね。ケーキのろうそく(さすがに85本も立ってない(笑))を吹き消して「いつまでも狂言さしてもらおうと思うてます」と挨拶されているのが、印象的でした。
経歴紹介の中で、NHKのドラマの映像などが流され、能・狂言の人間として初めて、歌舞伎やドラマなどに出演したことにも触れられました。以前は能・狂言の役者は他の分野と交わってはならないという不文律があったんですが、それを破られたのが千作師と、弟の茂山千之丞師だったのです。
その時に、「新しいことをする」という共通点として話をふられた北野武さんの言葉が私としては印象に残っています。
「だけどまあ、1回(伝統などを)やぶるとまたそっちの流れがあって、また戻る時もあるしね。だから1回やぶってみようという気持ちも必要なんだけど、それでいて、どうしてこれが、こういう着物着て、こういうことやるってのかが、それをやって理解できることがあるんだよね、違うことやってると、やっばりこういう芸はこうしなきゃいけないってことが、改めて分かることがあるし」
千作師も「あの、今、おっしゃる通りで」と同意されていました。
続いて稽古の話。千三郎師が、千作師の稽古について「稽古をつけてもらうと、やり始めて、自分がその役になって勝手に終わって、『こうやで。分かったか』で終わりなんですよね」というと、千作師「見てもろうて、なるほどと思わしたらええねん」とダメ出し(笑)
茂山千五郎家の稽古について千三郎師は「洗脳教育」と仰ってました(笑) 初めはお祖父さんに習う。すると一代空いているし、孫が可愛くて仕方がないお祖父さんは「アメとアメ」で甘やかしながら稽古をする。そうして狂言が好きになる。成長して父親が師匠になると「扇や足が飛んでくる」厳しい稽古になるそうですが、そのころにはもう抜け出せないのだそうです(笑)
やっぱりというか、千作師が生まれたばかりの双子の曾孫・虎真くん竜正くんに向かって「こいつと狂言せな。4~5年生きてて」という映像も流されました。
千作師いわく「(正邦師は)結婚して3年も4年もなりますのに、いつかいつかと待っておりましたんですわ。したら、いっぺんにパッと2人できまして、うれしいやら、びっくりしたやら。幸い2人とも男でございますのでね、ま、今度できました孫2人と狂言が、初舞台で一緒にやりたいと思うております」
正邦師も将来的に「千五郎」の名を継ぐ者として、息子の誕生を望まれていたんでしょうね…。「心味の会」のminiインタビュー「私のなやみごと編」でも、「子供ができない」と仰っていたことを思い出しました。奥さんも大変だったでしょうね。うまく男の子が生まれてホッとされているのではないでしょうか。
最後は『栗焼』の焼く場面の実演で終わり。これはいきなりCMに切り替わって終わりますし、あんまし…やっぱ狂言は生で見るに限りますね(^^)
なんというか、茂山千作師は登場するだけで人を和ませることのできる、稀有の「喜劇役者」なんだなーと強く感じる番組でした。また、その一方で、「せぬひま」公演での狂言間語『姨捨』では、85歳もの年齢でも力強い演技もできることを、私はこの目で見ています。番組内で弟の千之丞師が仰っていたように「枯れた芸、というのは兄(千作師)からは考えられない」。老いても、千作師だからこその「まことの花」は尽きない。そんな役者ですね。
御年85歳の千作師は、私と60歳ほども年齢が違いますけど、少しでも同じ時代に生きられて、生でその芸を見られるなんて本当に幸せです!
■関連記事
→in harmony *~日々つらつら~:たけしの誰でもピカソ
「たけしの誰でもピカソ」茂山千作師特集
放送延期されていた誰ピカ千作さん特集をビデオ録画して見ました。
やっぱり、和みます。全ての仕草に和みます(笑)
お菓子を召し上がっている姿すら、和みます。
千三郎さん、正邦さんも出演されました。
私、正邦さんが結構好きなので嬉しかったです(^^)
双子ちゃん
千作師、ほんとに和みますね。
『福の神』は正に神だと思いました(笑)
存在自体が狂言そのものというか・・。
お菓子を召し上がるその姿も、素敵すぎます(^^)
正邦さんのところの双子ちゃんとの共演も楽しみですね!
9月に近くのホールに茂山家の妖怪狂言の公演があります。
母はこの番組を見て「あのおじいちゃんが観たい!」と言うのですが、
たぶん、、、来ないと思いますが、また別の機会があれば一緒に見に行こうと思っています(^^)
千作師、和むだけじゃなかったです。
間語も素晴らしいです。あまり勤められないのが残念なほどに。
千作師・千五郎師・正邦師、そして曾孫との
茂山千五郎家直系四代共演は今から期待大ですね。
私も千作師の舞台がまた見たくなって来ました。
関西ではふいに千作師が狂言をお勤めだったりするのですが、
逆に狙って探そうとすると大変だったりします(^^;)
縄綯・悪坊・狸腹鼓
{/kaeru_rain/}
TOPPA!FINAL@横浜能楽堂ということで、久々に遠出です。
桜木町駅から意外と近かった。
内容はタイトルの三演目です。
TOPPA!とはなんぞや?
というと…
心・技・体、教育的古典狂言推進準備研修錬磨の会でして…
{/arrow_t/}説明になってない。
大