来年の気になる公演

 来年の能や狂言の公演情報を集めていると、すでに楽しみなものがいくつか。

 ひとつ目は掲示板でこっこさんに教えていただいたものですが、大槻能楽堂の新春公演。能楽堂の70周年記念ということで、「餅風流」付きの『翁』が演じられます。「風流」というのは、『翁』の中で狂言方が演じる特殊な祝言。多くの場合、豪奢な扮装をした神仏や物の精が現れて、自分の由緒を語り、泰平を寿いで舞を舞うというものです。

 めったに演じられませんが、ビデオで国立能楽堂開館記念能(1983年)の『蟻風流』は見たことがあります。梅若紀彰[現・六郎]師の千歳、観世元正師の翁が舞い終えた後、野村万之丞[現・萬]師の三番叟の「喜びありや」の言葉に反応して、蟻の精(能村[現・野村]英丘師)が登場。更に追って穴師明神(和泉元秀師)も現れて三人で三番叟を踏み、最後は謡に乗って帰っていくという…。

 趣向としては豪華なのですが、凛とした『翁』独特の空気が薄れてしまう感じがするので、内容としては普通の『翁』の方が良い気も…。しかし、珍しいという意味では是非観たいです。今回の『餅風流』はどんな内容なのでしょうね。(※追記 石淵文榮さんのブログによると、『餅風流』は舞台上で餅つきをするものだそうです。めでたそうですね~ラッキー

大槻能楽堂70周年記念 新春能
◆1月3日(火)時間不明 於・大槻能楽堂(大阪市中央区)
★観世流『翁-餅風流』大槻文蔵・茂山千作・茂山千之丞
★観世流能『羽衣-彩色』片山慶次郎
●一般:5,000円(当日:5,500円)、学生:3,000円(当日:3,500円)
<問い合わせ先>大槻能楽堂 06-6761-8055

 新春能のチケット発売日は分かりませんが、去年は12月1日でしたから多分同じではないかと思われます。

■関連記事
年末年始の『翁』
日々是≪能≫三昧:餅の風流(来年の大槻能楽堂『翁』)


 あと、チケットぴあを見ていて見つけたのが、フェスティバル能・狂言。今年の狂言は山本東次郎師です!

フェスティバル能・狂言
◆4月15日(土)15時~ 於・フェスティバルホール(大阪市北区)
★観世流能『鞍馬天狗』 ★大蔵流狂言『二人袴』
 出演:大槻文蔵・観世銕之丞・山本東次郎ほか
●S席:7,000円、A席:5,000円、B席:3,000円、C席:2,000円
■発売日 2005年10月29日(土)/チケットぴあ(Pコード:364-855)取扱
<問い合わせ先>大阪国際フェスティバル協会 06-6227-1061

 関西ではめったに演じられない、けど著書を通じて好きな山本東次郎師(笑) それだけに観たい…。発売日は今月ですが、4月だなんて、全く予想が付きません(汗) でも、フェスティバルホールですから、良い席で見ないと遠いでしょうし…困りました冷や汗

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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6件のフィードバック

  1. dream-man より:

    こんばんわ。
    >大槻能楽堂新春公演
    70周年記念ということで、新年からすごいラインナップですね。「風流」は観たことがないので、ぜひ観てみたいです。4日の「三番叟(三)」の演者も気になるところ…。友の会の先行発売は、一般発売の1ヶ月前の11月1日でしょうか…。良い席で観る為には、座席指定券も購入した方が良さそうですね。
    >フェスティバル能・狂言
    今年は、山本東次郎さんがご出演されるのですね。うむ、来年の4月の予定なんて分からない…。2003年、2004年、2005年と続けて観に行っていまして、最初の年(2階S席)以外はC席で観ています。詳しい席割りは知りませんが、C席は2階最後方です。なので、米粒ぐらいにしか観えません…。2階前方のS席からでも遠かったので、じっくりと鑑賞するなら1階席がオススメです。

  2. さおり より:

    管理人さん、こんばんは~。
    >大槻能楽堂新春公演
    私も先日、能楽堂でチラシを入手しました。
    「餅風流」でしかも千作・千之丞ご兄弟。これは見に行かねばと拳を握り締めましたよ(笑)
    >ビデオで国立能楽堂開館記念能(1983年)の『蟻風流』は見たことがあります。
    私もこのビデオを見たことがあります。
    蟻の出で立ちは黒尽くめで、背に丸い尻尾のようなものを背負っていましたねー。私は内容よりも、その出で立ちに面食らってしまい強烈な印象が残りました・・・・。

  3. ★dream-manさん
    こんばんは~。書き込みありがとうございます。
    「風流」は「狂言風流」ともいいますが、江戸時代にも演じられる事は稀で、明治以降は事実上廃絶していたのが、国立能楽堂開場記念に復活したものだそうです。ですから、本当に珍しいとは思いますよ。今年の正月に、東京で梅若六郎師の『翁』で、野村萬斎師の『大黒風流』が演じられたそうですが。
    関西では、毎年12月17日に行われている春日若宮おん祭の「松ノ下式」で、金春流の『弓矢立合』(三人の翁が舞う『翁』の異式)に合わせて、大蔵流の『三笠風流』が演じられているようですけれどね。
    フェスティバル能・狂言に関しての情報、ありがとうございます。1階席がオススメですか~。でも、予定が分からないのにチケットなんて買えません~(涙)
    ★さおりさん
    こんばんは~。書き込みありがとうございます!
    大槻能楽堂の11月公演のチラシに、チラッと書いてあるだけなのですけれど、これは見逃せないと思ってしまうような内容ですよね!(^^) 期待が高いだけに、「餅風流」の内容も気になるところですが。
    『蟻風流』の蟻のいでたちですが、黒いもんぱに黒頭、うそふきの面だったのは覚えてますが、背に何か背負ってましたか!? 『翁』の中にまさか四足歩行の蟻が登場するとは思わなかっただけに、びっくりしましたね。

  4. さおり より:

    こんばんは~。
    >背に何か背負ってましたか!?
    背というよりは、腰かお尻あたりに黒い丸い風船のような物を付けていたと思うのですが・・・・。記憶違いかな、ちょっと自信がなくなってきました(^_^;
    蟻を絵で描くと、○○○に足を付けたような感じになりますよね。頭と胴体と最後の○が何なのかよく分かりませんが、その部分だと思います。
    あぁ、これ、私の記憶違いでしたらゴメンナサイ!

  5. いえ、そんな、さおりさんの記憶違いだと言ってるつもりは~。
    私も記憶が弱いんですよ。特に装束の細かいところは…。
    大学の図書館にビデオがあるので、時間を見つけて確認してみます。

  6. さおり より:

    こんばんは~。
    あれれ、自分の書き込みを読み返してみると卑屈な文章ですねー(笑)余計な気を使わせてしまって、すみません。
    私も機会があれば、もう一度ビデオを見直してみたいと思います♪