きもので楽しむ日本の伝統(2)

 次のテーマは「現在」。

 狂言が終わると幕が降りて、裾から羽織袴に着替えた千三郎師と京都染織青年団体協議会の方2人が登場。千三郎師がインタビュアーとなって、京都染織青年団体協議会が行っている活動や将来の展望が語られました。

 そしてファッションショー。「全日本きものの女王」というのがあるそうで、その女王に選ばれた方々と京都代表が着る振袖と、「女王」たちをエスコートする男性のきもののショーでした。そのエスコート役にちゃっかり逸平師が入ってました。

 それにしても、男性きものってのは地味ですね~(汗) 縞か灰色か紺か…地味というか落ち着いたものが良いんですけど(笑) 一方の振袖は、落ち着いたきものが好きな私には、どれもが派手過ぎだと感じられました。薄い青色の振袖はわりと好きなものでしたけれど。ちなみに京都染織青年団体協議会の会長は、ラメ入りの羽織に虎の描かれた着物…。タイガース魂は関西人として理解を示したいですけれど、私は着たくないです(^^;)

 ショーが終わるとまた狂言。

★大蔵流狂言『棒縛』
 シテ(次郎冠者)=茂山正邦
 アド(太郎冠者)=茂山千五郎
 アド(主人)=島田洋海

 いつも留守の間に、二人の召使が酒を盗み飲むことに気付いた主人は一計を案じます。先に太郎冠者を呼び出し、次郎冠者に得意の棒術を披露させた隙を狙って棒縛りにすると打ち明け、それを果たした後、油断した太郎冠者も後ろ手に縛るのでした。主人が外出して残された二人。やはり酒が飲みたくなり、苦心の結果縛られたまま、杯をお互いの口に持って行くことで酒を飲みます。そのまま珍妙な酒宴となり、歌舞に興じているところに主人が帰宅。叱責されて追い込まれるのでした。

 縛られたまま、工夫して酒を飲んだり、そのままで舞を舞うのが見どころの狂言。『中・高校生のための狂言入門』にそれぞれの演者の立ち位置が心理を表しているという話も載ってますが、確かに。次郎冠者を呼び出した時には、太郎冠者が主人側に行くんです。先の『延命袋』でも、奥さんがやってきたときには太郎冠者は夫側に立ってました。あくまで夫に仕えているという立場を暗示しているのですね。

■関連記事
きもので楽しむ日本の伝統(1)
きもので楽しむ日本の伝統(3)

Pocket
LINEで送る

柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

オススメの記事