2005年6月26日(日)13時半開演 於:大阪能楽会館
★観世流能『杜若』
シテ(杜若の精)=前田和子
ワキ(旅僧)=福王知登
地頭=波多野晋
笛=野口傳之輔 小鼓=吉阪一郎 大鼓=河村真之介 太鼓=上田慎也
★大蔵流狂言『伯母ヶ酒』
シテ(甥)=善竹隆平
アド(伯母)=善竹忠一郎
★観世流能『小鍛冶-黒頭』
前シテ(童子)/後シテ(霊狐)=梅若基徳
ワキ(三条小鍛冶宗近)=福王和幸
ワキツレ(勅使・橘道成)=山本順三
アイ(宗近の下人)=善竹隆司
地頭=井戸和男
笛=左鴻雅義 小鼓=成田達志 大鼓=谷口有辞 太鼓=上田悟
「和の会」は去年まで「大阪観世流師範連盟 能と素謡の会」と題していた会です。素謡もなくなりましたけど。チラシも随分カラフルになって、主催側の意欲が感じられますね。ツテでチケットをいただいて見に行った会でしたが、とにかく『小鍛冶』が最高!で、見終わった後、興奮冷めやらぬまま帰路に着きました。客席に空席が多かったのが残念なばかりで。こんなに高いレベルの能が見れたのに…もったいなや、もったいなや。
『杜若』の感想は省略。
★大蔵流狂言『伯母ヶ酒』
甥は、酒屋を営む伯母を訪ね、どうにか酒を飲もうと策を弄しますが、けちな伯母はその手に乗ってくれません。甥は付近に恐ろしい鬼が出るという噂があるから注意するように言い置いて、一旦帰るフリをした後、途中で鬼の面をかぶって、ふたたび伯母のところへやってきます。鬼が現れたと思いこみ動転する伯母を脅して、甥は酒屋の蔵に入りこみ存分に酒を飲みますが、だんだんと酔いが回っては最後には寝込んでしまいます。そこを様子を確かめに来た伯母に正体を見破られ、追いかけられるのでした。
善竹忠一郎師、今日は不思議と声が小さく、間も悪かったような…。あまりに声が小さいところはセリフを間違ったのかとすら感じてしまいました。好きな狂言なんですが、今ひとつ乗れないまま、終わってしまいました。まあ、客席も全然落ち着かなかったですけど。
★観世流能『小鍛冶-黒頭』
三条小鍛冶宗近は剣を打って奉れとの勅命を受けたが、しかるべき相槌のいないのに困り、氏神である稲荷明神に祈願に出掛ける。すると気高い童子が現れて激励の言葉をかけ、中国と日本の剣にまつわる伝説を語ってその徳を讃え、相槌に行くから心配なく準備にかかれと言って消えうせる。(中入)
宗近が帰宅して用意を整えて待つと、霊狐が現れて相槌をつとめ、名剣「小狐丸」を完成させると勅使に捧げて稲荷山へと帰って行った。
見ていて絶えずワクワクとしっぱなしの、最高の『小鍛冶』でした。こんなワクワク感は久しぶり! まず小鼓の成田達志師と大鼓の谷口有辞師のご兄弟。お互いに命を燃やして正面からぶつかり合うかのような、大小鼓でした。このお二人、本当にお上手ですよね。京都の大鼓では谷口有辞師が一番好みです。
それから地謡。ワキの福王和幸師も、笛も太鼓もアイもですが…興奮してしまって上手く言葉にしようにもできないのですが、全体がぶつかり合いながらも一致したステキな能でした。能を見る醍醐味ってこういうことなんですよね。
『小鍛冶』という曲の面白さ、シテやワキの演技、「黒頭」の小書による変化、囃子の話…会が終わった後に感想を語り合わずにはいられないような、そんな能。ホント面白かったです。
しかし、黒頭の下が「霊蛇」の面でした。これは「角のない般若」といった面ですが、『小鍛冶』はヘビじゃなくて、キツネでは…。面白かったのですが、不思議な面の選択でしたね。梅若家ではこういった選択のことがあるらしいのですが、どういう理由なんでしょうね? ちょっと不思議。
始めまして、能の淵の愛読者?です。関西の情報の殆どが網羅されているのでとても有り難いです。
和の会って何を意味するのかってチラシを見た時から思ってたのですが良く分かりました。
杜若は九月、十月に会が有りますので勉強しようと(囃子です)。前田和子さんは応援したくなる人です。
小鍛治について私も全く同感です、良かったですね成田さんと谷口さん!!悟先生も。和幸さんは常に存在感があるし・・・・容姿は綺麗だし声はいいし。
そうそう多分管理人さんはあの方かなって私なりに想像したのですが、大きなチェックというか青色の感じの長袖シャッの方?地謡に近い正面に座ってられた。
これからも色々な情報と観能記を楽しみにしています。
こんばんは。紅緒でございます。
「小鍛治」にとても興味津々です。
ゆげひさんが相当興奮されているので、余計気になります(笑)
とても素晴らしい舞台だったのでしょうね~(^^)
こんにちは。
初めまして(・・・で、正しいのか、ここでは?)
「小鍛冶」について語り足りない凸凸です。
何と関大のHPから流れ着いたんですが、こんなところがあるなんて・・・。
今日は、大切なお時間を割いていただいてありがとうございました。
今日の能はなにやら自分の能を思い出して余りあるすばらしい能でした。
いまだに思い出すと興奮です。
能が面白いとはこういう事かと少しは実感できた気がします。(まだまだ青いですが・・・。)
また、見に行きましょう!
★nathuさん
初めまして。コメントありがとうございます。
関西の情報は網羅したい、というつもりでやっているものですので、
何か見落としなどありましたら、お教えいただけると嬉しいです。
成田達志師はTTR能プロジェクトで山本哲也師と、
谷口有辞師は心味の会で曽和尚靖師とタッグを組まれてますが、
ご兄弟による共演もまた見てみたいですね(^^)
『杜若』で会に出られるのですね。頑張ってください。
私が正解かどうかは…ご想像にお任せ致しますね(笑)
これからもどうか宜しくお願いいたします。
★紅緒さん
『小鍛冶』良かったですよ~。ワキの「三条小鍛冶宗近」が
名前になっていることもあって、ワキも大活躍です。
正直、『小鍛冶』のワキ宗近は、後シテと一緒に刀を打つ役。
かなり力強い役ですので、前に拝見した中村彌三郎師が
見た目としてもゴツいし、似合うと思っていたのですが、
福王和幸師も自身満々で「オレに相応しい相槌になるのは
神ぐらいしかいない」といった感じの若き天才?の宗近を
好演されてました。
(彌三郎師は叩き上げの職人、のイメージでした)
★凸凸
コメント、ありがとうございます。
こんなところがあるんです…知ってる人は知ってるので、
あんまし余計なことは書けませんが(笑)
能を習っている身としては、ここはこう謡うんだ!とか、
こうやってみたいとか、思うのはやっぱり良かった時ですよね。
能は面白い、かって私も時々分からないときもありますが(笑)
また、面白そうな能を狙って見に行きましょうね。では。