処女塚古墳

処女塚古墳(1)

住所:神戸市東灘区御影塚町2-10

 「処女塚」と書いて「おとめづか」と読みます。神戸市東灘区に存在する、4世紀ごろに造営されたと考えられている前方後方墳です。昭和54年(1979)から昭和60年(1985)にかけて復元され、史跡公園として整備されています。

 ここは西求女塚古墳、東求女塚古墳とともに『万葉集』『大和物語』そして能『求塚』に繋がる悲恋物語の舞台となっています。3つの古墳は約2km離れて向かい合うようにあるのですが、その中央がこの処女塚古墳。菟名日処女(うないおとめ)の墓とされているんですね。

 あまり写真では見えないかもしれないですけれど、この処女塚古墳の上にも桜の花が咲いていて、能『求塚』の前半、うららかな春の景色を描く場面を思い浮かべました。もっとも菜摘みって、残雪をかき分けながらするもので、春といっても「新春」などの春なんでしょうけれどね(笑)


処女塚古墳(2)

 古墳の脇には万葉歌人・田辺福麻呂の歌碑が置いてありました。

「いにしえの小竹田壮士(しのだおとこ)の妻問ひし
  菟原処女(うなひおとめ)の奥つ城ぞこれ」

 『万葉集』の時代からいわれていた伝説なのですね。『太平記』に記された、湊川の戦いで敗れた新田義貞の危機を救って、この塚の上で戦死した小山田高家の碑も並んでおいてあります。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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