能関係の切手

能の切手

 さて、前回書いた「プレゼント」の中にあった切手の話です。

 私は小学生のころ、友だちと切手集めに凝った時期がありました。その友だちとは別々の中学に進んだこともあって、切手集めもそれっきりなのですが、そのころ集めた切手や『日本切手カタログ1992』は手元に残ってます。『カタログ』を10年ぶりぐらいにめくって、いただいた切手がいつ発行されたものか調べてみました。

序の舞(上村松園) まず上村松園さんの『序の舞』。これは能の舞事のひとつである「序之舞」をモデルに描かれた絵ですが、切手は1965年の切手趣味週間に発行されたもの。切手趣味週間は切手の「美しさ」や「芸術性」といった文化的価値を広めるために1947年に制定され、併せて切手も発行されています。この『序の舞』切手以外にも有名な絵を絵柄に使ったものが多くて、見ていて楽しいです。

能『羽衣』 能の『羽衣』と『葵上』の切手は1970~72年に発行された伝統芸能シリーズの2つ。能にはほかに『田村』。能以外には歌舞伎(『娘道成寺』『助六』『勧進帳』)、雅楽(『還城楽』『胡蝶』『太平楽』)、文楽(『熊谷陣屋』『野崎村』『阿波の鳴門』)があるようです。

 これらの切手はチケットの送料に使った切手代(80円)の「お返し」として送ってくださったのですが、確かに額面では計80円ですけれど…30~40年前の切手ですもの。確実に額面より価値があるでしょうに…なんだか申し訳ないです。でも、同時にとても嬉しくもあります。

 手元にないものも含めて「伝統芸能シリーズ」切手の画像を並べてみますね。並べているだけでも楽しいですイヒヒ

能『田村』能『葵上』歌舞伎『娘道成寺』歌舞伎『助六』
雅楽『還城楽』雅楽『胡蝶』文楽『熊谷陣屋』文楽『野崎村』
歌舞伎『勧進帳』雅楽『太平楽』文楽『阿波の鳴門』

 ほかに私が見たかぎり能関係の切手には、「国立能楽堂開場」(1983年)、「国際皮膚科学会議」(なぜか能面・1982年)、伝統工芸品シリーズの「博多人形」(1985年)、「切手趣味週間」(山川秀峰さんの「序の舞」・1991年)。普通切手にも一時期、女性面(細かい名称は分からない)や白色尉といった能面が描かれたものがあったようです。

国立能楽堂開場国際皮膚科学会議博多人形
序の舞(山川秀峰)
女性面女性面白色尉

 そういや、能楽・文楽・歌舞伎と揃って世界無形文化遺産に登録されたんですから、郵政公社さん、再び古典芸能シリーズの記念切手を出してくれないでしょうか。あと『カタログ』(10年前のものですが)を見る限り、狂言関係の切手も見当たらないので、出して欲しいものですねてれちゃう

※なお今回使用させていただいた切手の画像は、キッテコムのものです。ありがとうございました。

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「きらくなぺーじ」管理人の部屋:伝統芸能関係の切手

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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10件のフィードバック

  1. dream-man より:

    この記事を読んで、思わず自分のブログでも便乗しちゃいました(苦笑)
    30年から40年前の切手なら、切手マニアの間では相当価値があるのかもしれませんね。
    先日、歌舞伎は世界無形文化遺産に登録されたばかりなんだし、「世界無形文化遺産登録記念切手」などを発行して欲しいです。

  2. ★dream-manさん
    便乗ありがとうございます~。
    反応があるってのは嬉しいですし(^^)
    画像で使わせていただいたキッテコムには
    現在の価値も表示されるんですが、
    それぞれ「額面+10円」(笑)
    あんまり切手マニアの方々には受けが良くないようです。
    しかし、逆に言えば、現品に巡り合えさえすれば
    すぐ手に入る値段なので、安心とも…。
    かなり欲しいです、伝統芸能シリーズの切手(笑)

  3. みゆみゆ より:

    私が歌舞伎好きだと知っている友達から、その伝統芸能シリーズ歌舞伎編(?)の切符を何枚かもらいました。お礼に延岡の能楽の切手をもらったり、何かしら集まってきます(笑)こういうのは使わないで取っておきます(^^)
    他にも素敵なものがありますね。特に切って集めは趣味ではないのですが、素敵なものを見ると買ってしまいます。(使ってしまうのが多いですが)

  4. 切手

    柏木ゆげひさんとdream-manさんがブログで書かれていた「切手」の話題に、私も便乗させて頂きます!!
    写真は撮るのも撮られるのも苦手で、毎度、非常に見難い画像で申し訳有りません
    「翁」の切手は、国立能楽堂開場記念のものです。台紙付きで封筒に入ったまま、

  5. さおり より:

    こんばんは。
    私もブログで便乗させて頂きました(笑)
    伝統芸能シリーズの切手の数々、とても美しいですね~。
    能トランプに続くヒット商品です!!

  6. ★みゆみゆさん
    伝統芸能関係の切手が集まってくるって良いですね(^^)
    小学生のころに集めた切手を入れているファイルを見直していたら
    一枚だけ、1991年に発行された歌舞伎シリーズの切手がありました。
    六世中村歌右衛門さんの八重垣姫です。
    http://kitte.com/catalogue/jpn19910628_02/
    手に入れた当時は、「なんか変なおばさんやな」と思っていたことまで
    思い出してしまいました。歌舞伎を知らなかったとはいえ…(苦笑)
    ★さおりさん
    さおりさんも便乗ですか。ありがとうございます(^^)
    こうして、ネット仲間内で話題を共有できるって楽しいですから、
    他にも便乗仲間募集したいぐらいです。
    能トランプ、懐かしいです(^^)
    去年の誕生日に妹からもらったのが懐かしいです。
    これからも楽しいものを見つけられるよう、
    アンテナを拡げていたいと思います。

  7. せぃ。 より:

    こんにちは。はじめまして。
    ネットサーフィンをしていたら
    偶然このサイトを見つけました。
    私は以前、「羽衣」の切手の貼ってある手紙をもらって、
    「おぉ!能の切手なんかあるんだ!」とびっくりしました。
    能のトランプまであるんですね!
    チョー欲しいです。

  8. ☆せぃ。さん
    初めまして。コメントありがとうございます!
    能の切手、いいですよね。
    大切に使わずに取ってます。
    能のトランプのことは、
    http://funabenkei.daa.jp/others/trump.html
    に書いています。
    最近は能楽堂の売店(私の行動範囲なので関西ですが)でも
    見かけることがあります。
    外国人へのお土産用なんだと思いますが、なかなか良いですよ。

  9. 内藤陽介 より:

     はじめまして。
     国立能楽堂開場の切手のことを調べていて、たどり着きました。(切手に描かれている能楽師のモデルが分からず、苦労しています)
     さて、記事中にある国際皮膚科学会議の件ですが、郵政当局の説明によると「能面は、皮膚の中でも美しい部分である顔を表わし、また、第16回会議の開催国であるわが国を紹介するにもふさわしいもの」なのだそうです。
     ご参考までに。

  10. 初めまして。
    皮膚学会の切手に能面の図柄が使われた説明、
    ありがとうございました。