続・くずし字の自習

京都造形芸術大学 古文書を読む

致せり尽くせりの古文書入門書

前回「くずし字の自習」という題で書いたときには多くの方にアドバイスをいただき、ありがとうございました。それらのアドバイスを元に再び図書館を訪れ、本棚を眺めながら、ウロウロしていました。で、見つけたのがこの本、京都造形芸術大学編『古文書を読む』(飛鳥企画、2002年)

すでに活字化されている史料の読解から始まって、次のステップで毛筆で書かれた本へ。掛軸や石碑、絵図・指図と進んで行き、最後は古文書の閲覧・調査・整理などの最低限の知識まで。致せり尽くせりの古文書入門書です。

第一章「活字史料を読む」は、豊臣秀吉が天正15年(1587)に北野天満宮で催した茶会(北野大茶湯)に関する史料でしたが、これは割と楽にクリア。続いて、第二章「くずし字に慣れる」にて、変体仮名に入ったところです。『古今茶道全書』巻2より懐石の材料を記した箇所。元々多くの人に読まれることを前提に、綺麗に清書された版本なので読みやすいのですが、それでも今まで知りもしなかった変体仮名が少しずつ読めていく部分は、確かに暗号解析みたいで、少し楽しいです。

さっさと読み終えて、次の『都名所図会』にての漢字の読み解きへ進みたいものです。

私が読みたいと思っている資料について

前回、説明不足だったかな、と思ったのは私が読みたい対象について。つまりは「活字に翻刻されていない古文書を歴史資料として読んでいきたい」という意味でして、草書など、ある特定の字体というわけではないですし、また、とりあえず適当に『風姿花伝』を手に取っただけで、『風姿花伝』にこだわっているわけでもありません。

しかし、改めて私が専攻していた日本古代史って活字史料に関しては恵まれていますね。『日本書紀』『続日本紀』など官選史書である「六国史」は当然としても、古文書の類も『寧楽遺文』『平安遺文』といった形で、出版されています。また最近、発掘が進んで新しく注目されてきた木簡に記された文字も、かなり活字化が進んでいます。

発表などでは、随分お世話になりました。翻刻・校訂・出版をなさった先人に感謝です。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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