能と狂言の世界 小林責 増田正造 講談社 1982-01 by G-Tools |
「能や狂言に特定の見方はありえないと私たちは思いますし、何か特別の予備知識を必要とするような説き方には、首をかしげてしま」うというところから出発した、「能と狂言を見たり、その本質について考える際の手がかりとなる素材を提供」してくれる本です。もう20年以上前に出た本ながら、面白くて一気に読んでしまいました。
何よりも能と狂言を別に説かずに、同じ立場で扱おうとする姿勢が私好み。私は能と狂言はお互い違う性格を持ちながらも、根本的な部分は共通する兄弟芸能だと思ってますけれど、そのことを増田正造さん・小林責さんという大学者お二人が、本として形にされていることを知って嬉しいのです
内容は100のテーマに別れていて、それぞれが写真と共の見開き2ページに収められています。最近出た入門者向けの本にこういう形の本は割と多いですが、その草分けなのだろうかと思ったりしました。平易でありながら奥行きのある文章、そしてそれに良くあった写真。よく出来ています。
最初の章が「祭から芸能へ」と題されて、『翁』『三番三(三番叟)』から春日若宮おん祭や薪御能、厳島神社や佐渡ヶ島に伝わる能舞台に、黒川能のことまで触れているのは最近の入門書にはあまり見られないもので、これも物珍しく読ませていただきました(^^)
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