ジャパネスク・アンコール! 氷室 冴子 集英社 1999-04 by G-Tools |
前々回、前回と書いたように、脱線事故の関係で気持ちが沈んでいたのですが、何人かの友人や知人からメールや電話が来て、助けられました。私自身が事故に巻き込まれたわけでもないのですから、いつまでも沈んでてもダメですね。
というわけで、気分を切り替えます。
私は実は机に向かって本を読むのは苦手なんです。長い通学の電車内で読むか、そうでなければ家でベッドに寝転んで(そのまま寝てしまうことも多い)、が私の読書。今日は電車で、ちょっと苦手な考古学論文を読む気で気合いを入れてたのですが…肝心の論文を家に置き去りに(^^;) 自分のドあほ。代わりに、なぜか鞄に入っていた『ジャパネスク・アンコール!』を読みました(笑)
この『アンコール』と次の『続・アンコール』は、『なんて素敵にジャパネスク』の番外編ですが、ストーリー的に2巻と3巻の間の話で、しかも『続』の最後で瑠璃姫と高彬が結婚してしまうので、抜かすわけには行きません。2巻から続けて3巻へ読み進むと、吉野に行ってたはずの瑠璃姫がもう京に帰って来ていて、さらに高彬と結婚してて仰天、となりかねませんので、読むつもりの方はご注意を(笑)
都を騒がせた謀叛未遂事件から数ヶ月。首謀者の僧が生きていて京で暗躍しているとの噂がひそかに流れた。吉野に籠もる許婚の瑠璃姫のためにも、疑惑を解明しようと、高彬はひとりで調査を始めるが…(「高彬のジャパネスク・ミステリー」)
高彬の乳兄弟である守弥は、若君が「物の怪憑き」と評判の瑠璃姫と許婚の間柄であることが許せない。2人の間をどうにか引き裂くために、策略を廻らすのだが…(「ジャパネスク・スクランブル」)
『なんて素敵にジャパネスク』小説版は主人公である瑠璃姫の一人称で展開して行くのですが、この『アンコール』では別の人物の視点になります。最初の「ミステリー」は高彬の視点、2編目の「スクランブル」では守弥。ストーリーも面白いですけれど、瑠璃姫視点では分からないことでも高彬や守弥の視点では分かるという点がいくつかあって、面白いですね。
特に初めて高彬側から語られる瑠璃姫への想いは注目。子どものころ、池に落ちて風邪をひいた高彬のところに、瑠璃姫が真っ暗な夜道を怖いのにも関わらずやってきた話なんて、ステキじゃないですか。もっとも池に落ちたのも瑠璃姫のせいなんですけど(笑)
高彬による推理の箇所はやっぱり小説版。論理的思考は文章の方があってますからね。マンガ版では帝の立場の辛さとか、やっぱりもうひとつよく分からなかった部分もあったので。
次の「スクランブル」を読んでて気付いたのは、1巻の最初に「高彬は琵琶が上手」とありますが、その琵琶は守弥が教えたらしいこと。その守弥は父親から習ったようです。「ではね、守弥が字をお教えしますよ。字以外でも、守弥ができることなら、何でもします。琵琶は、どうですか。名手だった父の直伝で、琵琶にかけては名手だと自負しているのです」とありますから。
しかし、守弥って態度がデカいなあ(笑) 特に小説版では守弥の一人称なのでますます。5歳の高彬が「ぼく、おしゅうじ、きらいなの。ばばやが、しかるの。もりやは、みっつで、じがスラスラよって」と言うと、独白ですけれど「しかし、三歳で字を書き、五歳で漢籍を読み、神童と呼ばれたわたしと比較するとは、少し酷であろう」って、その通りかもしれないけど、態度デカいよ。
山内直美さんの『画集 なんて素敵にジャパネスク』(ちなみに、私が唯一持ってるマンガの画集)に収録された、1992年の『花とゆめ』4号に使われたというポスター絵を思い出しました。鷹男の帝と瑠璃姫がチェス?をしていて、高彬が瑠璃の肩越しに覗き込んでいる。そして、少し離れた柱に体を預けた守弥がエラそうに見下ろすようにしている…という絵。とにかく、守弥って態度がデカいんです。そういうキャラなんですね(笑)
守弥自身も認めていますけれど、守弥にとって高彬は、「(守弥にとっての)理想的な公達として作り上げる存在」という部分が強いってことが良く分かりました。まるでゲーム『プリンセスメーカー』の、日本平安時代男性版を地でやってるみたい(笑)
しかし守弥、最初は嫌味な二枚目なのに、煌姫と関わったあたりからどんどんと三枚目に転落し続けていくところが好き(笑)
■関連記事
→なんて素敵にジャパネスク(1)
→なんて素敵にジャパネスク(2)
→続ジャパネスク・アンコール!
→なんて素敵にジャパネスク(3)人妻編
→なんて素敵にジャパネスク(4)不倫編
→なんて素敵にジャパネスク(5)陰謀編
→なんて素敵にジャパネスク(6)後宮編
→なんて素敵にジャパネスク(7)逆襲編
→なんて素敵にジャパネスク(8)炎上編
→なんて素敵にジャパネスク 人妻編(マンガ版)
柏木さん、お元気になられたようで良かった(守弥口調・笑)
ま、無理にお元気になられなくともいいと私は思いますがね。
ご自分で気分転換したくてなさったのなら良かったです(^^)
私も何だか態度デカイ(^^;)
私、煌姫 大好きなんです~!!
特に煌姫のモットー「うまい話には裏がある」「人を見たら
泥棒と思え」を敢然と守弥に言い放つ辺りは特別好きな場面
でもあります。
特に初めて読んだ頃にはとても衝撃をおぼえ、
「そうなんだ、そうだったんだ!煌姫の言っていることは
正しい!」とその後の私の価値観まで変えました(笑)
しばらく純粋に実行していた時もありましたよ(苦笑)
もちろん今では違いますけれど、詐欺に合わない為などには
いいモットーかもしれません(^o^;)
山内直実さんの「ジャパネスク」の画集、私も持っています~!
懐かしい!私も柏木さん同様(マンガは好きでも)画集まで
買うことは少ないんですが、たまたま持っていました!
懐かしいですねえ~。柏木さんがジャパネスクを読み返して
感想を書き込んで下さる毎に私の懐かしい思い出もぽろぽろと
思い出され、いろいろな意味で楽しませていただいています。
守弥口調、ありがとうございます~(笑)
いいかげん、落ち込んでることを言い訳にただサボってる気も
してきたので、いろいろ再開し始めました。
煌姫、気位の高さと目標の低さのギャップが面白いですよね。
『源氏物語』の末摘花のパロディなんでしょうけれど…
零落した宮家の姫といえば、はかなく亡くなってしまうのが定番ですが
零落したからこそ、こんなたくましい姫、もあっても良いのではないかと。
「スクランブル」最後の、守弥への手紙に使う料紙を調達するのも大変、
と言ってますけれど、姫君自ら、でも全く暗くないあたりが好きですね。
でも正直なところ、前読んだころは煌姫、好きじゃなかったんです。
このパロディ編だけならともかく、人妻編以降にもどんどん登場するので
「好きじゃない」と感じた原因のひとつかもしれませんね。
高校生のころの自分の感じ方なんですけど…青臭いなぁ(笑)
そうです、ノンさんが書かれるようにマンガは好きでも画集まで買う、ってのは
なかなかないのですけど、唯一持ってる画集がこの『ジャパネスク』なんです。
着物好きの芽はこのあたりからあったのかもしれません。
漫画は大好きなんですけどね~、読んだことないんですよ>『なんて素敵にジャパネスク』。と言うか若い頃はともかく、子供が全部息子だったせいかもう20年以上少女漫画に手を出していません。
実はめちゃくちゃ苦手の「源氏物語」を克服しようと思ってセットで『あさきゆめみし』を買ったのに1巻目で挫折しておりまして(汗)、やはり少女漫画の絵柄がもう受け付けられなくなってるのかな~と思っているところなのです。それ以前に複雑な人間関係が苦手なのかもしれませんけど。
でもこんなに熱く語られると(笑)ちょっと読んでみたいような気もしてきます。悩むなあ。
『なんて素敵にジャパネスク』はオススメですよ~。
悩んでらっしゃるなら、1巻だけ手に入れてみて、お試し下さいませ(笑)
一応、「ラブ・コメディ」ですが、ベタベタの恋愛ではなく、
あくまで元気な瑠璃姫がいろいろ活躍する、で、その動機として
幼馴染の高彬との関係がある、という構成になってます。
ファンなんで、あまり冷静なコメントじゃないかもしれませんが(汗)
ここのブログに書いているのは小説版ですけれど、山内直美さんの
絵によるマンガ版もうまく原作の雰囲気を伝えてる良作です。
人間関係も『ジャパネスク』のマンガ版になっている箇所は
そう複雑でもないですよ~。今新しく『花とゆめ』連載されているらしい
「人妻編」以降は少々込み入ってきますけれどね。
私は男ですけど、なんか少女マンガも周囲にたくさんありますね。
母の影響だと思います。母が、マンガ好き仲間とマンガの貸し借りを
よくしていて、家に時々大量にマンガが来てたんです。主に少女マンガ。
その結果か、今でも女性向けのマンガが私の周辺に多いです。
『あさきゆめみし』は私も最初は絵が苦手でした。
というか、末摘花と花散里以外はあまり見分けが付かないですし(笑)