今日、車で大阪まで行って、帰りの運転中。ABCラジオの「上方落語をきく会」で今月12日に亡くなられた桂文枝さんの追悼番組をやっていました。
上方落語は去年から少しずつ聞くようになりましたけれど、桂文枝さんの落語は聞けずじまいで終わってしまいました。ただ有名な桂三枝さんや桂文珍さんの師匠ですし、好んで何度か聞いた桂阿か枝さんは文枝さんの最後の直系弟子なんだそうで。桂阿か枝さんは毎回、噺の最初に「三枝、きん枝、文珍、文太…」と文枝一門の名を上から順に並べてらっしゃいました。
番組の真ん中に、ありし日の文枝さんの噺が流されました。演題は『船弁慶』。「はめもの」と呼ばれるお囃子が使われた上方独特の落語で、大坂町人が夏に舟遊びをする風情を描いたものです。出てくる地名が大坂で馴染みがあるのも、さすがは上方落語。文枝さんの『船弁慶』は特に秀逸な芸として定評があったものなんだそうです。(たとえばこちらとか。)
落語の『船弁慶』の最後の方に、黙って舟遊びをしていた旦那の喜六を女房が見つける場面があります。しかし、その奥さん、旦那に舟から突きおとされます。幸い川は浅瀬でしたが、髪はざんばら。そこに上手から手ごろな竹が流れてきたのをつかむと
♪そもそもわれわぁ~桓武天皇九代の後胤、平の知盛亡霊なぁりぃ~♪
こりゃ、能『船弁慶』マニアの私にはたまりません! 旦那も慌てて扱き帯を数珠代わりにして
♪その時ぃ 喜六わぁ 少しも騒がずぅ 数珠さらさらとぉ 押しもんでぇ 東方降三世 南方軍茶利 西方大威徳 北方金剛夜叉明王 中央大日大聖不動明王ぉ~ぉ~ぉ~……♪
能『船弁慶』の謡をパロディにしてるんです。車の中で大爆笑でした!
最後のオチにも上手く「弁慶」が使われています。いいなぁ。返す返す生の文枝さんの噺で聞けないのが残念なばかり。ご冥福を祈るばかりです。
落語『船弁慶』に関してはこちら↓
【上方落語メモ第1集】その1 / 船弁慶
ああ、そう言えば本家(能)の船弁慶を知らないままだ。
今までずっと面白さが半分位しか伝わってなかった(理解出来ていなかった)と思うとなんか悔しいです。
能楽の船弁慶はリソースとして入手しやすい物なんでしょうか?
と、書いてる間にも調べてみます。
ボンバー犬さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
私は自分のサイトのURLに「funabenkei」と
入れてしまうぐらい、能の『船弁慶』が好きなんです。
http://funabenkei.daa.jp/noh/funabenkei.html
http://kandainoh.hp.infoseek.co.jp/photo/funabenkei.html
http://www.nohbutai.com/contents/05/06ha/3funabenkei.htm
などに写真とあらすじが載ってますので、良ければ見てください。
黒いボサボサの髪を振り乱して、長刀を振るっているのが
平知盛の怨霊、船に見立てた骨組みの上にいる山伏姿が弁慶の役です。
船出した義経や弁慶の一行の前に、平家を代表して平知盛が怨霊として
現れるのです。そこの謡が
「そもそもこれは。桓武天皇九代の後胤。平の知盛幽霊なり」
そして、「あら珍しや。いやに義経。思ひも寄らぬ浦波の」と言って
襲いかかってくるのですが、「その時義経少しも騒がず」と
義経は太刀を抜いて戦い、弁慶は主をかばって数珠で祈祷をすると、
平知盛の怨霊は姿を消してめでたしめでたし、という話です。
能としては派手で、動きも激しい曲ですし、人気曲なので、
一度機会があれば是非見てくださいませ。先日、梅田で無料の催しも
ありました。
ソースありがとうございます。
機会はなかなか無いかも知れませんが、積極姿勢で情報を集めようと思います。
ぶっちゃけると、早く見てぇ。
関西で能の公演情報を探すには、手前味噌ではありますが
私のサイトがあります。ほかの地方でしたら、
http://www.iijnet.or.jp/NOH-KYOGEN/event/kanto/kanto.html
とかでしょうか。
落語にそういうのがあるなんて知りませんでした。運転しながら聴いてたんですか?そんなのを聴きながらだと信号見落としそうですね(笑)。私も家人に邪険にされたら知盛の霊になろうかしらん。
今年は2月に国立でシテが野村四郎さんでアイが東次郎さんという「船弁慶」のチケットが手に入らなくて見損ねまして、5月ある杉並の大宮八幡宮薪能でやはりシテが野村四郎さんのを観ます。東次郎さんは他の薪能にご出演で、山本さんちのお若い世代(たぶん私のご贔屓)がアイをやります。
こんにちは、忠です。
自分が初めて『船弁慶』を見たのは、テレビでした。もう20年以上前です。演者がどなただったかも、記憶が定かではありませんが、真面目な芸の方だったと思います。
告白しますと、小学生のころからの落語ファンとして、それまではガチャガチャした上方落語が苦手でした(柏木さんの神経を逆撫でするかもしれませんが……笑)。米朝さんか小南師匠が、許せる限界でしたもの。
そんな上方落語観を一変させてくれたのが、この『船弁慶』でした。「スゲェ、スゲェ!」を連発し、テレビの前でのけぞって爆笑しました。まあ、能からとったのか、人形浄瑠璃からとったのかわかりませんが、上方も江戸前も「落語」とひとくくりにされている「芸能」のふところの深さに、感動すら覚えました。
芝居(歌舞伎)も、小学生のころから祖母や母に連れられて行ったせいもありますが、1960~70年代は、テレビでも落語・講談・劇場中継といった演芸番組が多かったので、古典芸能に触れる機会が豊富だったことは確かです。父が宴席でもらってくる「かくし芸集」なんていう小冊子にも、芝居のセリフ(弁天小僧とか与三郎とか外郎売とか)や物売りの口上(蝦蟇の油売りとか)が載っていましたし、頭のやわらかい子供の時代に、自然に各種古典芸能に親しめたのかもしれません。
今の子供たちにも「知識」ではなく、さまざまな芸能に触れる環境が提供できれば、もっと「能楽」好きが増えるかもしれませんね。
皆さん深いですねぇ。
さて、情報サイトURLありがとうございます。
…俺、札幌。
今のところ予定にない。残念無念。
船弁慶は枝雀師匠しか聴いたことないなあ、、、
あ、松鶴師匠はあるかもしれない。
初めまして。
★peacemanさん
能ネタでは『高砂や』という噺があるというのは聞いてたのですが、
『船弁慶』についていろいろ知ったのは今回が初めてです。前に忠さんが
ちょろっとサイトのBBSに書かれてたようには思うのですが。
信号無視はせずに済みました(笑) ちょうど信号が少ない幹線道路を
走ってた時、という幸運もありましたけれどね(^^)
『船弁慶』はシテだけでなく、ワキもアイも活躍する良い曲だと思います~。
山本東次郎師のアイも観たいですね。今まで見た中では、茂山忠三郎師が
良い意味で「船頭のおっちゃん」的で好きです(笑)
★忠さん
私の神経を逆撫で、と思われるなら敢えて書かなくても(笑)
私は上方落語も少ししか聞いたことがないので、江戸落語は全然知らないです。
噺家といっても、タレントっぽい方の名前しか知りませんし(^^;)
思えば、落語も狂言も、学校の文化鑑賞会か何かで小中学生のころに
触れてるんですよね。でも、続けて触れる機会がなく遠ざかっていました。
大学で幸運な出会いをしてます、能・狂言も落語も。
万人が万人伝統芸能好きにならねば、とは思いませんけれど、触れる機会が
ほとんどない、というのはかなり不幸な状態ですよね。
★ボンバー犬さん
札幌の方なのですか。能は地域に偏りの大きい芸能ですから(^^;)
まあ、いつか機会があればいいですね。
★LSTYさん
初めまして。ラジオ番組では流された後、
「今、船弁慶する人って誰がいるかなぁ?」みたいな話を
ゲストの噺家の方々が話されてました。
一度、林家染語楼さんが『船弁慶』をするとチラシで見たので
行ったのですが、入院されてしまい、聞けずじまいでした。
今はもう退院されたそうですが。
たまたま21日の午後、NHKを見ていたら、達人名鑑の再放送をやっていました。
これがちょうど桂文枝さんの回で、船弁慶もちょっとだけ流れましたよ。
「そもそもこれは~」もばっちり見ました。(^^)v
映像も流されたのですね。見逃して残念です。
「そもそもこれは~」と言いながら、何か長刀を持っているかのような
仕草などはされるのでしょうか?