中学時代以来の友人がどこからか手に入れてきた本『必ず治る民間療法(れうはふ)千種』です。ちなみに昭和13年(1938)の「主婦之友三月號附録」だそうで。
「民間療法」といえば聞こえが良いですが、牛糞や臍の緒などを、とにかく何でも黒焼きにして飲むようなものが数多く載っていて、かなり怪しいものとなっています(笑) 健康法のようなものは、まともそうなものもありますが。
この本には「名士の推奨(すゐしやう)する民間療法(れうはふ)」というコラムがあるのですが、その「名士」の中に「謡曲下掛寶生流家元 寶生新」(十世宗家。1870-1944)の名もあります。文章は以下の通りでした。
咽喉を養ふために何か藥でも用ひてゐるかと、よく訊ねられますが、何にもやつてをりません。たた舞臺へ出る前には、刺戟物を愼んでゐるだけです。
さうですね、宅でやつてゐるものと言へば艾風呂ですね。手拭一本で袋を拵へて、それに半ば干した艾を入れ、風呂の中に浸けます。湯の色は薄茶色ですね。大變身體が温まるので痔にも効きますよ。
他の草ですと、釜を損めはせぬかて心配ですが、艾ならその點大丈夫です。値段はちよつと高いですが、立て返しが利くからそれほど贅澤でもありますまい。
道後温泉の附近には、澤山艾がありますが、あれなど、さぞ効くだらうと、旅行したてき思ひましたよ。
旧字体が多くて少し読み難いかもしれませんが、とりあえず、まともな話で良かった…(笑) 「名士」の中にも今の人間が読むと、とんでもない「民間療法」を語ってらっしゃる方もいたりするので…(^^;) ちなみに「艾(もぐさ)」は、お灸にするためによもぎを乾燥させたものです。
>釜を損めはせぬかて心配ですが、艾ならその點大丈夫です。値段はちよつと高いですが、立て返しが利くからそれほど贅澤でもありますまい。
ここの部分を読んで「ああ、懐かしい」と思ってしまい
ました。昔はお風呂って立て返して数日使いましたもの。
毎日新湯の家はホントに贅沢でした。今でも私1人だと
2日目は追い炊きして使いますけど、息子なんかシャワー
でお湯もガスも使い放題(–#)
もぐさを薬湯にするっていうのはよもぎ湯と同じですよ
ね。これは本当に効果のある民間療法なのでは。
う…私も最近はシャワーです(^^;)
さっと入って出るなら良いんですが、
ちょっと謡を謡ったりしたら、長風呂になってしまいますから。
反省
なんとなく、これは効果ありそうですよね(^^)
民間療法というか、健康法って感じですが。