今日の朝日新聞夕刊に「華やか哀愁 萌芽の舞台」と題して、女性能楽師に関する特集記事が載っていました。
初めは昨年末に横浜能楽堂で催された企画「女による女のための女の能」で演じられた新作能『小野浮舟』の原作者・馬場あき子さん、シテの津村聡子師(シテ方観世流)、演出の梅若六郎師の話から。そして現在、能楽協会の構成員約1500人のうち、250人が女性であるという現実。その一方で、今も女性が能を演じることへ異論があることが記されています。
続いて去年、国の重要無形文化財保持者(総合認定)に、初めて女性能楽師22人が認定されたこと。そして、倉本雅師(シテ方宝生流)と内田芳子師(シテ方宝生流)の話。最後まで女性能楽師を認めなかった喜多流で、初の女性能楽師になった大島衣恵師は「もし私の芸がつたないなら、それは女性だからではなく、私自身に力が足りないから」といっています。
最後に応援サイトが私のサイトとリンクさせていただいている、松井美樹師(シテ方観世流)が舞台に立つ数の少なさを訴えられていました。それでも「まず1人の人間として真摯に能と向き合いたい」と書かれています。
私自身、女性能楽師でとても感動した舞台、というのにまだ会ったことはありません。しかし、今まで「本当に感動した」と思える舞台を見せてくれた能楽師は数えるほどで、男性にもまた少ないのです。だから男女の差だとは思っていないのですね。
600年近くの間、男性だけで演じられていた芸能ですから、そのまま女性が演じるにはペナルティがあるとは思います。でも、元々そういったものを乗り越えたところに感動を呼ぶ、能はそんな魅力を持つ芸能です。そのため、女性だからこそできる舞台もあると思っています。
安易な男女平等論を伝統芸能のようなものに持ち込むのはどうかと思いますけど、実際の舞台を見て、これからを期待したい女性能楽師がいることは、私にとって紛れもない事実。新聞などにも取り上げられて、一般の関心を呼べば嬉しいですね。
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