住所:神戸市須磨区須磨浦通4
処女塚古墳・東求女塚古墳と、神戸の能ゆかりの史跡のことを続けて書いたので、再び神戸ネタで。JR山陽本線および山陽本線「須磨」駅から歩いてすぐのところに、小さな社があります。能『絃上』(観世流では『玄象』)ゆかりで、村上天皇(在位946-967)を祭っています。天皇を祭るので神社ではなく「帝社」なのでしょうか。
村上天皇は平安中期の天皇。歴史的には、摂関政治を抑えて天皇親政を行い「天暦の治」という治世をもたらした天皇と説明されます。音楽的・芸術的な功績も多いのですが、唐の琵琶博士・廉承武の亡霊から秘曲を伝授されたといった琵琶に関する説話の多い人物でもあります。ちなみに、私の村上天皇像は岡野玲子さんのマンガ『陰陽師』に登場する「主上」、ちょうど彼です。
以下に神戸市須磨区による案内板の文章を掲げます。
この社にはつぎのような伝説があります。その伝説のひとつが謡曲「絃上」(玄象)でうたい語られ、広く世に知られております。『平安期の末期、太政大臣藤原師長は琵琶の名人であったが、さらに奥義をきわめたいと入唐の志をもってこの須磨の地まできました。
ところが村上天皇と梨壷女御の神霊が現れて、琵琶の妙手を授けたので入唐を思いとどまり帰郷した。』といわれており、一説に『籠宮から師長に捧げた琵琶の名器〈獅子丸〉を埋めた場所である。』とも伝えられています。いずれにしても、村上天皇にまつわる伝説からこの地に村上天皇を祭り、神社としたものと思われます。また、この地はもと前方後円墳があり、その形が琵琶に似ているのでこのような伝説に結びついたともいわれています。
帝社への参道の左角に古い標石が建っており、それには、正面に『村上帝社琵琶達人師長』と刻まれています。
毎年十月一日には例祭が行われます。
ちなみに琵琶を埋めた?もしくは前方後円墳の残り?の琵琶塚は、元々は境内にあったそうですが、山陽電鉄の線路で二分され、小高い土地の一部が残っているのみだとか。山陽電車を挟んだ向かい側の、地域福祉センター敷地内に琵琶塚の碑が建てられて、それが見当たるぐらいでした。
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