狂言画写の世界 ―影印・作品解説・装束の着付・装束の構成 安東伸元 中野慎子 和泉書院 2005-08 by G-Tools |
「狂言画写(狂言畫寫)」とは1844年に描かれた狂言舞台の写し絵。『狂言画写の世界』はその写し絵の影印(写真)と描かれている狂言の演目紹介、登場する役に使われる装束についての解説などを一冊にまとめた本です。
なんて書くと難しそうですが、「狂言画写」はとてもユーモラスなタッチの絵で統一されています。特に『靱猿』や『首引』の部分では見ているだけで、ほんわかした気分になってしまいます。
狂言の演目解説ではセリフや謡の言葉が多く載せられており、ついつい音読したくなるような好ましいものです。実演家の安東伸元師(狂言方大蔵流)が書かれているからこそ、ですね。
あまり見ることのない狂言装束の着付の様子を取った連続写真が載っているのも嬉しいです。大名が着る素袍や主人が着る裃は上を先に着てから袴をはく一方、太郎冠者スタイルだと先に袴をはいてから肩衣を付けるなんて順番の違いは、よくよく考えれば当然なんですが、私にとっては意外な発見でした。
…普段何も考えずに狂言を見ているだけなんですけれどね
もう一人の著者である中野慎子さんは被服学の教授。ですから最後の「装束の構成」の章では、装束を採寸して布の裁ち方・縫い方に至るまで詳細に調べられてます。和裁の出来る人ならこの本を見ながら狂言装束を作ることもできるんじゃないか…なんて思うのは私の素人考えでしょうけれど、とにかく、びっくりするぐらい詳細なのです。
上着と袴類のほかに、普通の装束解説では無視されがちな襟・胴着・腰帯・脚絆なども載ってますから、狂言の基本的な出立はこの本に載っている装束でほぼ再現可能です。特殊な『靭猿』の猿や『止動方角』の馬などの装束まで、布の裁ち方・縫い方が載っているぐらいですから。
被服学か~。被服学科なんて女子大ぐらいにしかありませんけれど、服飾から伝統芸能にアプローチするのも面白いだろうなぁ…なんて思う本でした。
こんばんは!
思わず書き込んでしまいました。
ゆげひさんは、本当に勉強熱心というか、能楽ファンなのですね。
この本は、
先生方、そして、大和座の方々の手作りのような本です。
その様子が、安東先生のエッセイ(?)にも書かれています。
http://homepage3.nifty.com/yamatoza/hibishin13.html
http://homepage3.nifty.com/yamatoza/hibishin16.html
大和座とは、関係無い方が「良い」と仰ってくれるのは、
嬉しいです。
お稽古人の私達が言っても、真実味が有りませんものね。
「大和座」狂言もぜひ観てもらいたいです。
家元の狂言に負けてないと思います。
目の肥えた、ゆげひさんにぜひ観て欲しいです。
迷月さん、こんばんは。
文章を書きながら、迷月さんが反応下さるかな?なんて
思っていました(笑)
装束の着付け写真、モデルの方が
大和座の方なのは分かるのですが、
写真撮影も確認してみると
大和座の方だったのですね。うーん、まさに手作り。
安東伸元先生の文章も読ませていただきました。
先生の深い思い入れが伝わってきます。
安東伸元先生の演技は何度か拝見してますが、
ほかの大和座メンバーは未見です。
その内、是非拝見したいと思います。
…目は肥えてませんけど(苦笑)
はい!
単純な人間なんで、すぐ反応しちゃいました。(^^ゞ
あのちょっとだけ訂正。
家元じゃないですね。家筋家でした。
大和座のお弟子さん達と同世代の家筋の方々と言いたかったんです。
ぜひ、観て欲しいと思います。
私も、ただいま勉強中で、
色々な家の能楽を観ているところです。
それと、
能楽は、観るのも楽しいですけど、
演じるのも楽しいですよね。
WSお疲れ様でした。
私も観に行けば良かったなぁ。
>>家元じゃないですね。家筋家でした。
なるほど、仰る意味がよく分かりました。
いろいろな流派や家の芸を見ると、
違いが分かって楽しかったり、
改めて自分の好みの芸風というのが分かってきますよね。
>>能楽は、観るのも楽しいですけど、
>>演じるのも楽しいですよね。
ですよね~。
演じると全身で能や狂言を浸るというか。たまりませんよね。
そして、能や狂言の奥深さを感じたり、
分かるから、観るのもより楽しくなったり、
改めてプロの役者の凄さを感じたり、と。
だからお稽古はやめられない、止まらないんです(笑)
時間とお金が無限にあれば、狂言のお稽古だってするんですけどねぇ。
一度参加した四日間のワークショップがたまらなく楽しかったので。