茂山千五郎家 狂言装束展

 今日は用事があって京都へ。しかし、用事は夕方だったので寄り道をば。八坂や鴨川沿いを歩いたりと、久しぶりの京都散策になりました。

茂山千五郎家 狂言装束展

 寄ったのは京都市勧業館(みやこめっせ)。ここの地下一階ギャラリーで「茂山千五郎家 狂言装束展」をやっているからです。ちなみに入場無料。肩衣22点・素袍4点・熨斗目4点・厚板2点の合計32点。無料にしては立派な数ですよね。

 この催しのことを知った時には正直「ふーん」としか思わなかったのですが、『狂言画写の世界』を読んで狂言装束に対する興味が増している今、とても楽しめるものでした。展示にはそれぞれの名称が書かれているだけなんですが、別紙の展示リストには「着用演目例」が載せてあって、舞台でどのように着られるのか想像しながら見れたのが良かったです。

 何と言っても展示品の3分の2を占める肩衣が特徴的。間違いなく狂言を代表する装束です。入口の看板の図柄にも使われている、大きな蕪が描かれた「蕪とタンポポ文様」は何度か見た覚えがありますから慣れていますけれど、考えてみればかなり奇抜な図柄ですよね。

 「撫子文様」は上品ですし、「祇園守りに蔦文様」「砧文様」「垣に瓢箪文様」「鍔文様」といったものは日本の古くからの伝統美を感じます。「鬼瓦文様」は『鬼瓦』で語られる、目のくるくるとし鼻がいかっていて口が耳せせまで切れている顔をまさに見せてくれる感じ。「鳴子に稲穂文様」は豊作を示していて、農業と狂言の繋がりを感じて好きです。

 ほかに亀の背に島が載っている「蓬莱文様」はダイナミックですし、変な顔(←失礼)が大きく二つ描かれた「牛祭り面稲文様」は一瞬ギョッとしました。これは太秦広隆寺の牛祭りに使われる面を描いているわけです。特に変わったものとして「未確認物体文様」。遠くから見ると白い斑にしか見えなんですが、近づいて見るとUFO、つまり空飛ぶ円盤が描かれているのです。これ、何の狂言で使うんだろ?たらーっ

 素袍は素袍でも『末広かり』や『三本柱』に使われるものは折鶴や亀甲繋ぎの文様で特にめでたい柄になっていたり、『萩大名』のような普通の大名に使われるものがあったり。『花子』専用の「色紙短冊文様」の素袍長袴も展示されていました。

 熨斗目は『枕物狂』で使われるという「白茶小紋小格子熨斗目」も展示されていました。茂山千作師が『枕物狂』を演じられる「千作・千之丞の会」も展示期間中ですから、別のものが使われるのでしょうけれど…地味ですが品の良い装束でした。

 まだ今週一杯はやってますので、興味のある方は是非覗いて見てくださいませ。

―古典芸能― 茂山千五郎家 狂言装束展
期間:2月11日(土)~3月12日(日)9時~17時
場所:京都市勧業館みやこめっせB1F
   京都伝統産業ふれあい館ギャラリー
料金:無料
主催:(財)京都伝統産業交流センター・京都市
協力:茂山千五郎家


 …本当は今日、朝9時から大阪の大槻能楽堂で行われていた「笛を楽しむ能と囃子の会(野口傳之輔師と野口亮師の素人会)」で、善竹隆平師の『三番三』舞囃子バージョンを見てから京都に向かうつもりだったのですが、見事に寝坊しました(苦笑)

 悔しい! しかし、日曜日に限って寝坊だなんて。いや平日に寝坊したら取り返しが付かないのでマシなんですけれど…うぅ…。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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5件のフィードバック

  1. かえで より:

    柏木さま
    私はその会の最初から拝見しましたが
    隆平師の「三番三」を両方とも見逃してしまいました~!(涙)
    昨日は文楽4月公演のチケット発売日(先行予約)だったので
    その時間帯は、ずっと電話をかけまくってたのです(汗)
    ようやく繋がっても
    私のお気に入りの席は、すでに売り切れてました(T_T)
    昨日の会の見所はすっごい人でしたねぇ。
    無料で好きな能楽師の方にお目にかかれますものね(^^)
    お笛でご出演さなった方々もお疲れ様でした。

  2. はやなり より:

    はじめまして
    同じ日の午前中に見に行ってたので
    ついコメントを書き込みしました
    未確認物体文様はおもしろかったですね
    ほんとなんの狂言で着るんでしょう?
    “現在も時折使用しています”って書いてありましたが
    是非みてみたいですね

  3. こっこ より:

    未確認物体文様ですが確か「狐と宇宙人」という
    新作狂言で使われているはずです。
    小松左京さんの原作だったと思いますが・・。

  4. ちひろ より:

    ご無沙汰してますm(_ _)m
    装束展、同じ日のお昼に見に行ってました。ニアミスでしたね。
    舞台で使用されているときはおおまかにしか見えませんが
    ああやって展示されていると、柄の細部までじっくり観察できて
    楽しいですよね^^

  5. ★かえでさん
    能や狂言の場合、素人の会は無料ですが、
    お囃子の素人会だとそのお囃子一人以外は全員がプロですものねぇ。
    大槻文蔵師の千手前に、金剛永謹師が平重衡という
    異流競演の『千手-郢曲之舞』まであったみたいですし。
    見所も大繁昌だったことだと思います。
    ★はやなりさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。
    未確認物体文様の肩衣は見た時、思わず目を疑いましたよ。
    実際に使われる舞台を見てみたいような、
    そうでもないような、微妙な気持ちです(苦笑)
    ★こっこさん
    やはり新作狂言ですか。ありがとうございます。
    ★ちひろさん
    お久しぶりです。
    ニアミスですか?私が行ったのは2時ぐらいですけれどね。
    柄の細部までじっくり観察できるのはホント良いですよね。
    組み立てた状態に近いものも1つぐらいあったら
    良かったかなぁ~なんて思うのは我侭でしょうか(笑)