近畿日本鉄道(近鉄)の大阪線には「俊徳道」という名前の駅があります。能『弱法師』の主人公・俊徳丸に由来する地名です。
元になった話は以下のようなものです。
高安の里に住む信吉長者は、清水観音に祈ってやっと男の子を授かった。俊徳丸と名付けられたその子は才知に優れ、容姿が美しいことから、十三歳のとき選ばれて四天王寺の舞楽で稚児舞を務めることとなった。その絶妙な舞を見初めた同じ高安に住む蔭山長者の娘と相愛の仲となる俊徳丸。ところで俊徳丸は幼い頃に母を亡くし継母に育てられていたが、継母は実子の次郎を産んでからは俊徳丸の命を狙い、呪いをかけられて俊徳丸は盲目となった。家も追い出されて物乞いをしながら四天王寺の辺りをうろつくようになった俊徳丸だが、蔭山長者の娘が探し出し、後に観音の力で継母を倒し目も見えるようになる。
この説話の後半部分も取り出して、より精神的に深めたのが能『弱法師』ですが、説話のストーリー面をより強調して人形浄瑠璃、そして歌舞伎となった『摂州合邦辻』という話もあります。ともかく、さまざまな芸能に取られたため、俊徳丸が舞楽の稽古に通った道とされる道を通って四天王寺へ参詣する人々が増え、実際に街道となったものが、この俊徳道なんだそうです。今は地名となっています。
案内板は近鉄大阪線長瀬駅から長瀬川沿いに北上したところに、設置されています。大阪市内には俊徳橋という橋の名前も残っているとか。
また、東大阪市太平寺1-9-26にある牧野病院の裏手には、旧俊徳道沿にあったであろう碑が立っています。表には「是より南 渋川郡太平寺村」、裏には「志ゅんとく道」と書かれていました。
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