あらすじで読む名作能50 多田富雄 石淵文榮 小野芳朗 河村晴道 児玉信 原田博之 三宅晶子 世界文化社 2005-04 by G-Tools |
正直なところ、あまり期待せずに読み始めた本でした。タイトルから言って、最近流行の「あらすじ本」ブームに便乗しているようにしか思えませんし。あらすじ本の類は私、好きではないのです。ただ、中に成田達志師(小鼓方幸流)が演目について語ってらっしゃるということで、読んでみたわけですが…。
読んでみたら…これが面白いんですよ。見開き2ページにそれぞれの能の演目の魅力のポイントがギュッと詰められているような。全部が全部良いとまではいいませんけれど、中には「そっか、こういう見方すれば良いんだ」と、今までより明確な見どころを示してくれるような文もありましたし(^^) 読み始めたら、一気に終わりまで読んでしまいました。
ご自身のブログでは「私自身の原稿は、正直、いい出来…とは言い難い」と書いてらっしゃいますが、石淵文榮さん執筆の『巴』の文なんて好きですね。
演者が語られているのは、『翁』についてが観世清和師・幸清次郎師・山本東次郎師。『道成寺』についてが梅若六郎師・森常好師・松田弘之師・成田達志師・亀井忠雄師・金春國和師・野村万蔵師・梅若晋矢師。歌舞伎役者の五代目中村富十郎さんをはじめ、他分野の方が能について語ったエッセイもなかなか面白いです。
それにしても成田師の写真、掛け声を掛けてらっしゃる瞬間の顔アップというのは…ちょっと(苦笑) …もっとカッコ良い写真もあるだろうに、なんでわざわざ(^^;)
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これ、いいですよね!私も「お能の紹介本」のひとつという感じで買って読んだのですが面白くてだだーっと読んでしまいました。皆さんの筆致が違うのも面白くて、後半は名前を見ないで「これはあの人かな?」なんて思いながら楽しんで読みました。
同じもので「狂言」もあるのですが、やや単調でちょっと感じが違います。私はこの「能」の方が面白いと思います。
だだーっと一気に読んだ、というのは同じです!
>>後半は名前を見ないで「これはあの人かな?」なんて
マニアックな楽しみ方をされますね(笑)
でも、それぞれの書き手の個性が出ていて面白いですよね。
だいたい監修者が免疫学者。能楽師に能楽ジャーナリスト、
研究家はまあ普通としても、サイト「能との出合い’97」の管理人の方や
環境学者で師範の方とか、個性溢れています(笑)
同じシリーズに「狂言」「歌舞伎」「文楽」「オペラ」などが
あるみたいですね。今、狂言読んでます。
また、感想は読み終えてから(^^)
リンクしていただきありがとうございます(^^)この本はすっかり私の愛読書となっております。私も「狂言」持ってます!最近「文楽」もちょっと気になってますが、あまりいろいろな分野に手を出すと大変なことになってしまいそうですので・・・(^_^;)
紅緒さん、コメントありがとうございます。
この本であらすじを確認してから観能するってのも
良さそうですよね~。
文楽は私も気になっていて、国立文楽劇場(大阪)のスケジュールと
自分のスケジュールとにらめっこしてる状態です(笑)
柏木さん,こんにちは。
12/01の能を観に行く前に購入しました。
「葛城」のあらすじがてっとり早く知りたかったもんですから。役行者に多少関係するということで,興味が持てました。葛城の神って誰なんですかね?なぜこういった話が出来たのか興味深いです。
それと,拙ブログに,柏木さんのブログをリンクさせて頂きたいのですが,ご了承いただけますか?
NAKAさん、『あらすじで読む名作能50』を買われましたか。
単なるあらすじ本を超えて、なかなか良質の能の紹介書と
なっていると思います。
『葛城』のあらすじは本を読んでいただくとして、
雪に覆われた葛城山の風景と相まって、非常に美しい曲です。
『日本霊異記』などに記された葛城の神と役行者との争いの話を
元に作られたと思いますが、一般に男神とされる葛城の神を
能では女神に仕立てて、役行者との関係よりも、
人間的な内面の苦しみを描いているのが好きな曲です。
最後は中世にあった葛城山こそ高天原であるという考えに基づいて
アマテラスと重なって、神楽を奏したり、岩戸隠れをします。
リンクはご自由にお貼りくださいませ。
リンク許可ありがとうございます。
葛城の神を,実際の男神ではなく,女神とし,さらにはその女神に難癖つけ,罰を与える話,これまた興味深いですね。(葛城の能は,その後の,醜女の葛藤なのでしょうが。。。)コメント返信,勉強になります。感謝!
難癖…ですか(^^;)
そんな話じゃないですよぉ~。
すんません,わけのわからん事を言いました。
(能「葛城」のストーリーは置いといて,なぜ,葛城の男神と密接な役行者が,葛城の神を呪縛するのかなあと考えてました。)頭の中のごちゃごちゃを表示したことに,謝罪。
まず,12/01楽しんできます。
『日本霊異記』(822年成立)に載っている
「孔雀王の咒法を修持して異しき験力を得、
以て現に仙と作りて天を飛びし縁」以来、
葛城の神が役行者に呪縛される話はたくさんありますよ。
私が思うのは、役行者は葛城の神を祭る賀茂公の出ですが、
いわば新興宗教の開祖みたいなものじゃないですか。
だから、それ以前の「葛城の神」と対立があるのではないかな、と。
まして『日本霊異記』はわりと露骨な仏教礼賛の書ですしね。
神の性別に関しても、中世は今とはかなり違う神道観があったようで、
性別はわりと簡単に変わっていたようです。
感謝!