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 能・狂言の好きな人間として、時々思うこと。

 能のファンでも舞台で狂言が始まると外に出ていってしまう人がいます。特に最悪なのが舞台で狂言が演じられていても構わず喋ってる人。一方狂言のファンで、能は難しくて分からないと言って見ようとしない人もいる。こっちで腹立たしいのは、目当ての人が出演する間狂言だけ見るような真似をする人。

 ほとんどの人は常識的に振舞ってらっしゃいますけれど、一部のそういう困った人たちは大層目立つんですよね。舞台は生の演者が目の前で演じているわけですから、演者に対する最低限の礼儀は存在すると思いますし、また何人もの人間が同じ空間を共有して楽しむものなのですから、「ほかの人の邪魔をしない」は最低限のマナーだと思います。

 ちなみに私は能と狂言をバランスよく楽しんでいきたい、という考え方をしています。普通に面白いですもん。というか能と狂言はセットで「能楽」。狂言のない能も、能のない狂言も、それは何か物足りないと思います。レベルの高い低いでも、難易の違いでもなく、お互いを補い合う兄弟芸能なんですよね。

 だから、その兄弟芸能を平等に愛してやって欲しいな〜と思ったりする最近です。多少、兄や弟に好みが偏るのは仕方ないとは思いますけど、どっちかだけってのは悲しい。

 特に最近、私は意識して「能楽」って言葉をできるだけ使わないようにしてます。「能楽」は「能+狂言」と辞書などには書かれていますけれど、「能」と同じ意味で使われることも多いので、「能楽」というと狂言を抜いた意味になりかねない気がするので。もちろん能にはシテ方だけでなく、ワキ方・囃子方・狂言方全てが出演するからこそ、「能楽」に相応しいのかもしれませんが。

(2003/08/18)

オススメ本
狂言のことだま
山本東次郎
 狂言と能とのつながりなどにも言及した数少ない狂言本。

つれづれ雑感
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