ゆげひの碁

『源氏物語絵巻』宿木
『源氏物語絵巻』宿木
倭人、棊博の戯を好む
隋・開皇20年(600)
兵庫寮囲碁殺人事件
天平10年(738)
吉備真備入唐
(『江談抄』)
和歌に詠まれた囲碁
平安時代


 ほったゆみ/原作 小畑健/画の『ヒカルの碁』というマンガがあります。ある日、祖父の蔵で古い碁盤を見つけた小学校6年生の少年・進藤ヒカル。その瞬間、碁盤に宿っていた平安時代の囲碁指南役・藤原佐為の霊がヒカルの意識の中に入り込んだ。初めは囲碁に見向きもしなかったヒカルだが、佐為の熱意に感化され、徐々に囲碁の世界へ入っていく……。大まかにいうとこんなストーリーです。

 このマンガに私、ハマっちゃったんですよ(笑) 囲碁なんてやったこともなかったんですが、佐為の狩衣姿に惹かれ、ついフラフラと読み始めて(汗) で、時代性は皆無なんですが、ストーリーがとてもよくて、すっかり『ヒカルの碁』の虜(笑) でも、天皇の御前碁で、狩衣ってのは間違いだよ!(第1話) って時代物じゃないんだから構わないんですけどね。

 最初に佐為が名乗る時、こう言ってます。「平安の都で大君に囲碁を教えておりました」 そーいや、囲碁って『源氏物語』とかには登場するなーと思い直しました。実例として、上に挙げた画像は『源氏物語』宿木巻で、主上と薫大将が碁を打っているのを描いたものです。 くつろいだ服装の主上が黒石を持っていますが、当時は上手が黒石を持つ決まりだったといいます(黒石は先手で有利なので、今は下手が持つのが普通)

 こんなのを見ているうちに更に興味が出てきて、平安時代以前はどれぐらいまで遡れるのだろうか、少し調べてみたのがこのコンテンツです。

 改めて、碁について簡単な説明をします(ただし詳しくないので、間違いがあるかも(汗))

 「碁」とは2人が相対し、縦横19路ずつの枡目を刻んだ盤上で黒石と白石を枡目の交点に交互に打ち合い、囲った交点の数(地)と取った石の多さで勝負を争う遊戯のことです。起源は中国。「碁」の字は本来「棊」「棋」と同字で、「キ」と読むのが適当なのですが、日本では専ら「ゴ」と発音します。「キ」は漢音で「ゴ」は呉音だといいますから、碁の伝来経路とも関係があるのかもしれません。「棊」という文字は、碁石に木材を使っていた名残ともいいます。

 碁が日本に伝来した時期や経過については詳しいことは分かりません。ただ、聖武天皇の遺物を収めた正倉院宝物の中に碁盤と碁石が存在すること、奈良時代の史書『続日本紀』や説話集『日本霊異記』に囲碁の記述が登場するので、奈良時代以前に伝来したことは間違いないでしょう。

 それら囲碁の古記録に触れていきたいと思います。なお、コンテンツ名「ゆげひの碁」は、沙耶さん(「矢釣宮」管理人)に賜りました。

(written on 2002/11/02)


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「世の中に昔語りのなかりせば―」
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