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■能・狂言だって料金はさまざま

 「能・狂言って、一度は観てみたいんだけど…高いんでしょ?」

 能・狂言のファンだ、と名乗るとよく言われることです。確かに会によっては10,000円を越える能のチケットも存在します。しかし、私が観に行く会は大体2,000円〜3,000円ぐらいが普通です。過去最高で『道成寺』の5,000円だったりします(笑) まあ、学生なので学割料金だってこともありますけれど。(逆にいえば学生は特権が使える内にせっせと観に行くべきです(笑))

 一般でも5,000円以下の会も少なくありません。さがせば意外に安いものもあるものです。「関西能・狂言公演情報」を眺めてみれば…見つかりましたでしょう?

 しかし、それでも能・狂言がどんなものか分からない、不安という人にはやはり高いと感じるかもしれません。そんな場合にオススメなのが、あまり多くないですが、時々ある無料の公演です。以下、関西での話を、経験を踏まえて書きます。

■各地の奉納能・薪能

 例えば神社で奉納される能にも無料のものがあります。

 毎年1月3日に八坂神社の能舞台で奉納されている『翁』が有名ですし、また元旦の午前0時から兵庫県篠山市の春日神社で奉納される『翁』は地酒が振舞われるといったサービスもあります。平安神宮でも元旦に京都能楽会による謡初が行われています。

 12月17日に奈良市の春日大社境内で行われる春日若宮おん祭で奉納される「弓矢立合」は他では中々見られない珍しい演目ですし、翌18日には御宴能として普通の能も演じられます。

 奈良県天河村の天河弁財天社は、世阿弥の息子・観世元雅も能面を奉納した芸能神ですが、7月と11月に奉納能が演じられます。奈良県桜井市の大神神社でも、毎年4月10日に「春の大神祭後宴能」と称して、各流の能や狂言が奉納されています。

 夏の間にいろいろなところで行われる薪能にも、無料のものが数多くあります。例えば毎年8月5日に阪神大物駅すぐ近くの大物川公園能舞台で行われる「尼崎薪能」。他には兵庫県西宮市の越木岩神社で行われる「西宮薪能」、夏ではありませんが、大阪府東大阪市の枚岡神社で催される「ひらおか薪能」などは無料です。

■六甲アイランド能

 毎年秋に、神戸・六甲アイランドで催されている「六甲アイランド能」は、席代が1,000円と割安ですが、立ち見だったら無料となってます。能・狂言の普及を狙ってるので、初心者向けの能や狂言が組まれますし、公演前には能楽師による解説もあります。ついでにご丁寧にも通訳が英語でも解説してくれますので、外国の方にもオススメです。

■伊丹能

 兵庫県伊丹市が阪神大震災復興事業の一環として、毎年2月にいたみホールで催している「伊丹能」も無料です。整理券が要りますが、伊丹市に問い合わせれば、市民でなくとも普通に手に入ります。結構立派なパンフレットもあって、解説も充実しています。

■能楽養成会

 能楽養成会とは能楽師修行中の方々の研修会で、研究発表という意味合いで能や狂言の公演を行ってます。大阪能楽養成会の場合、大阪能楽会館を会場として、年に4〜5回ほど催しています。まだ能楽師ではないものの、さすがに準プロ。またプロ能楽師も講師として、もしくは賛助で出演されるので、会としてのレベルは割と高めだと思います。大阪以外に京都にも「京都能楽養成会」が存在するはずなのですが…そちらは拝見したことが無いので、詳しくは分かりません(誰か知ってる方、教えてください)

■でも有料の催しも良い

 …と無料の催しをいろいろ挙げてきましたが、たった4年間ながら自分なりにいろいろな能や狂言の舞台を観てきて、やっぱり一番良い舞台は有料の自主公演などに多く観られると感じます。ですから初めて能や狂言を観るなら、少し値段が張っても、一流の演者が演じているものを選ぶべきかもしれませんね。

(2003/11/30)

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