早春立合能

 今日、京都観世会館で行われた早春立合能に行って来ました。今年で22回目になる京都の観世流と金剛流の若手が同じ舞台で舞う会なのですが…人、あまり多くなかったですね(^^;) 値段安いし、割と良い曲だったと思うんですけど。


 観世流の能『三輪』は、片山慶次郎師による地謡がホントに良く、能の雰囲気をとても締まったものにしていました。ただ、前日がついついよく眠れなかったので、後シテになってから神楽の舞ぐらいまでは、意識がはっきりした状態とウトウトとするのを何度も往復して、あまりきちんと見れなかったのが残念です。能の前日はよく眠らなきゃ(^^;)
 狂言は『地蔵舞』。初めて見た狂言でした。茂山正邦師がシテを勤める狂言を見るのは実に1年ぶりですが、今までの印象よりはかなりしっかりした演技をなさるので、少々驚きました。「我は仏と思へども。人は何と思ふらん」という次第の謡は実に立派。亭主が土地の大法で宿を貸せないといいながら結局は貸したり、僧が理由をつけて酒を飲んだり、と規則をうまく融通させる辺りは千五郎家の上手いところでしたけど、最後の見せ場・地蔵舞はただ何かやってるというイメージで終わってしまったのが残念でした。
 金剛流の能『殺生石』。玉藻前の伝説を能化したもので、私の好きな曲のひとつです。最後の方にある「矢の下に射伏せられて」という謡で、矢が刺さった演技をしますが、実に見事に胸を射られた様子だったのが印象に残っています。
[早春立合能]詳細
◆3月6日(日)13時~ 於・京都観世会館
★観世流能『三輪』
 シテ:橋本忠樹 ワキ:村山弘 アイ:茂山茂
 地頭:片山慶次郎
 笛:森田保美 小鼓:吉阪一郎 大鼓:河村大 太鼓:井上敬介
★大蔵流狂言『地蔵舞』
 シテ:茂山正邦 アド:茂山千五郎
★金剛流能『殺生石』
 シテ:豊嶋幸洋 ワキ:原大 アイ:丸石やすし
 地頭:今井清隆
 笛:相原一彦 小鼓:林大和 大鼓:石井保彦 太鼓:前川光範
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 ところで今日、京都観世会館で拾ってきたチラシをサイトに入力していたら、4月の京都観世会例会の能『自然居士』。配役がめちゃくちゃ私の好みです!
★観世流能『自然居士』
 シテ:片山清司 子方:青木沙菜子
 ワキ:中村彌三郎 ワキツレ:森本幸冶 アイ:茂山千三郎
 地頭:片山慶次郎
 笛:杉市和 小鼓:曽和尚靖 大鼓:石井喜彦
 まず曲自体が大好きですし、その上シテ・ワキ・アイ・地頭・笛・小鼓までが好みの演者! …もし大鼓が山本哲也師だったりしたら、まるで私が組んだかのような配役です(笑) まさに私にとっては一度は観たい『自然居士』! うわー行きたいっ!
 しかしながら、日時を見ると4月24日。はい、茂山千之丞師が『花子』を演じられる「春狂言」のチケットをすでに持ってるんですよね(苦笑) もちろん『花子』も観たいんですけど…。同じ日には善竹兄弟狂言会もありますし…まるで誰かにイヂワルをされているかのようです(^^;)

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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8件のフィードバック

  1. さおり より:

    ゆげひさん、こんばんは~。
    >能の前日はよく眠らなきゃ(^^;)
    能って不思議ですよね。自分が見たい!と思って見に行っているのに眠たくなるんですもの(苦笑)なんで眠たくなってしまうんだろうと後悔したことが多々あります。
    >能『自然居士』
    茂山千三郎さんは、狂言はたくさん観ているのですが、間は一度しか観たことがありません。狂言の時とは、随分印象が違っていて、とても落ち着いた語でした。この公演、見に行きたいなぁー。あぁー、でも4月24日!!なんでこう重なるんでしょうねぇ・・・・。

  2. >>自分が見たい!と思って見に行っているのに眠たくなるんですもの(苦笑)
    そうですね。好きで見に行ってるのに、眠くなるってのは能ぐらいです(笑)
    私は基本的にケチなので、チケット代がもったいない!と思って気合を
    入れるんですが、それでも気付いたら、舞台が進んでたりします。
    私、前に『自然居士』を見たときも、アイが茂山千三郎師だったように
    思います。千五郎家では一番好みの役者なんですよね。きちっと演技されるし。
    『自然居士』のアイは語リ間ではないですが、素敵な役柄ですよ。
    京都観世会例会は10時半~で、「春狂言」及び「善竹兄弟狂言会」は14時から
    ですから、最悪、『自然居士』が終わったらダッシュで大阪へ移動というのも
    一瞬脳裏に浮かびましたが…やっぱ無理でしょうねぇ。残念過ぎます!

  3. ちひろ より:

    おはようございます。
    ゆげひさん、立合能に行かれてたんですね^^
    ・・・もしかしてお着物でいらしてました??

  4. いえ、昨日は着物ではなかったです。
    男性で着物の方もいらっしゃいましたね。
    ちひろさんもいらっしゃってたのですか?

  5. ちひろ より:

    はい、行ってました。予告していったらお会いできたのに・・・残念でした。
    5日に豊田市能楽堂の特別公演に行ったので、ついで?に京都まで足を伸ばしておりました。立合能、いい企画なのに満員にならないんですよねえ。勿体無いと思います。
    『殺生石』の矢が刺さるところの型、すごく効果的に表現されてるなーと私も思ってました。
    また遠征予定もありますので、そのうちお会いできるといいですね!

  6. 本館サイトのトップページにある「オススメ公演情報」に載せた公演は
    必ず行ってる訳でもないですが、私が独断と偏見で行きたい!と思ったものを
    載せていますので…いる可能性は高いと思います。また機会があれば是非。
    豊田市能楽堂特別公演は、金剛流の『谷行』と『石橋』だったんですよね、確か。
    両方との派手な演目ですが、観たい曲です。金剛流のものは両方とも
    ビデオでしか見たことがないので…。

  7. そら より:

    管理人さんも、立合能にいらしてたんですね。私も参りました。お会いしたかったです~。ちひろさんには会えたんですけどね(^^)
    私は『殺生石』の間の時に船漕いでしまいました(-_-;)
    3曲とも初見でしたので、『三輪』『地蔵舞』を一生懸命みすぎて、集中力が続かなかったのかもしれません。

  8. 私は逆ですね(笑)
    『三輪』で船を漕いでいたからか、『殺生石』は集中して見てました。
    機会があれば是非お声をお掛けください(^^)