今日は今年最後の観能となる「大阪能楽養成会 研究発表会」を見て来ました。
大阪能楽養成会 研究発表会
◆12月28日(水)18時~ 於・大阪能楽会館
★宝生流能『経政』辰巳大二郎
★観世流舞囃子『西王母』井内政徳
★和泉流狂言『仏師』
シテ(すっぱ)=小笠原匡
アド(田舎人)=中本義幸
★観世流舞囃子『白楽天』
シテ=寺澤幸祐 地頭=上野雄三
笛=斉藤敦 小鼓=高橋奈王子 大鼓=大倉慶乃助 太鼓=上田慎也
(※能『経政』、舞囃子『西王母』はシテのみ)
印象に残っているのはなんといっても舞囃子『白楽天』。舞囃子といいながらも、前場にあるクセから最後までという大変長丁場の演目でした。
「真之序之舞」を中心とした重苦しいぐらいの気迫の曲。でも、曲としてのあらすじだとかを超えて、その気迫の「力」に魅せられてしまうのです。あらすじがどうだとかそんなことよりも、囃子の一打々々の間にある「力」の心地よさを感じた贅沢な時間でした。そしてその囃子の「力」に負けずに舞うシテも良かったですね。…ある程度以上の能楽師にとっては当然なんでしょうけれど。
狂言『仏師』は和泉流野村万蔵家の小笠原匡師とその弟子の中本義幸さん。全体的なあらすじは大蔵流と同じですが、見慣れた大蔵流と細かいところの違いが多々あって、雰囲気はかなり違いました。
すっぱが「みどもの背頃合の仏を作ろう」というと、田舎の人が舞台の前へ出て、すっぱの体を改めて見たり、代金は万疋で「大黒屋」で受渡しをしようという部分がありましたが、今まで見ていた大蔵流では演じられていなかったと思います。
代金の話などはない方がむしろ不自然なはずですが、大蔵流の『仏師』を見慣れている私には、入っていると理屈ッぽい気がしてくるから不思議。思えば体の動きも一つ一つピシッと決めていて、セリフと同様理屈ッぽそうな気がしてきます。
直接芸には関係ないことながら、田舎の人がすっぱの変装した仏を拝む時に扇を広げますが、そのとき扇に「ま」の文字の紋が書かれていたのが見えて、野村万蔵家の「ま」なのかな、と思って嬉しくなってしまいました。どうなんでしょうね?
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