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きぬた きぬた

京都・長久堂

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 明治初年にパリ万国博で受賞したという歴史も権威もある和菓子。また聞くところによると、太平洋戦争の物資窮乏の折にさえ「和生菓子特殊銘柄」に指定(昭和17年)されて保護されたといいます。切ったきぬた

 右は切ってお皿に並べてみた写真です。あまり綺麗じゃありませんが(苦笑) 真ん中が紅羊羹で、外は求肥。弾力が強く、歯ごたえが印象に残るお菓子でした。味はおとなしい上品なもので、一緒に飲んだ煎茶と良く合いました。

 「きぬた」とは「砧」と書き、布を槌で打って柔らかくし、つやを出すのに用いる木または石の台のことです。絹の場合は棒状のものにくるくる巻き、その両端をひっかけて廻しながら木槌で打ったそうで、この長久堂の生菓子「きぬた」は、絹を巻いた状態を象ったものなのではないか、ということです。白い求肥の部分が、つやつやして柔らかく、いかにも「絹」といった風情です。

 砧は秋の風物として、俳句などにも詠まれ、漢詩にもあります。能『砧』は漢詩を下敷きに、国元に残された妻の寂しい心情を描いた世阿弥による佳作の能です。

 店の紹介と通販のページはこちら。能『砧』人形の画像もあります。北山店もあるらしいのですが、私が行ったことがあるのは河原町OPAにある四条店です。この「きぬた」ほかの能ゆかりの商品としては、能面を象った干菓子「花面(はなおもて)」などもあります。

(2005/02/08)

菓子・雑貨類
満照豆 / きぬた/ 喜界島 / 能トランプ / 鬼瓦