9月2日


 少々寝過ごしてしまって、10時過ぎに行動開始。

 天気は雨。昨日はあまり気にならなかったのですが、緯度が高いだけに雨が降ったりすると凄く寒かったです(帰ってきてから聞いたんですけど、ソウルは気候的には寒帯なんだそうで。温帯の大阪と同じと思ってると泣きを見ました)。ホテル横のセブンイレブンで、傘を買おうとしますが、見たところ置いてない上、英語もうまく通じない。困っていたら、店内でコーヒーを飲んでた(韓国のコンビニ店内には、簡単な喫茶コーナーがあります。日本でもミニストップにありますよね)お姉さんが「私、日本語わかる」と話し掛けてくれて、通訳までしてくれました。

李朝時代の狼煙台。景色は見えず。 昨日から何かとちょっとしたことで感じますが、基本的に韓国人一般は日本人一般よりも人に声をかける風習があるじゃないんでしょうか。昨日の空港では、日本人観光客をカモと見て何か売りつけようとしてきた下心見え見えなおっちゃんもいましたが、リムジンバスのところでは、よりホテルに近いところに行くバスを教えてくれた人もいましたし。日本人なら聞かれるまで答えないよなぁ。まあ、お節介と感じる場合もあるんでしょうけど。

 傘を買って、まずは韓国の伝統芸能を見れるというソウル市庁舎近くの貞洞(チョンドン)劇場へチケットを買いに行きました。S席30000ウォンのところを、飛行機でパクってきたクーポンで1割引。27000ウォン。そこから、タクシーでソウル市を一望できるというソウルタワーに向かおうとしますが、タクシーの運転手になかなか理解してもらえなかった。英語とハングル併記の地図で粘ってようやく。15分ほど乗ってた割に3300ウォン。安い。

 ソウルタワーのある山の麓のケーブルカー駅で降ろしてもらって上に。ケーブルカー往復5800ウォン。しかし、山の上は霧というか雨雲に覆われていて、せっかくのソウルの景色が全然見えませんでした(汗) 仕方なく、山にあった李朝時代ののろし台に登って、ハングルの入ったプリクラを撮った(男2人で(汗))だけで、下に戻りました。

 この頃から雨がとてもキツくなりました。そんな雨の中、ケーブルカー駅からそう遠くないはずだから、と安重根義士記念館を探しました。道の階段は小さな瀧のようになるほどの凄まじい雨の中、ようやく見つけた記念館。どうでもいいから、屋根の中に入りたい気分になっていました(汗)

太極旗を持つ安重根の銅像 安重根は、日露戦争後に保護国化した韓国の初代統監だった伊藤博文を暗殺した人物。韓国では独立運動家として、第一級の英雄扱いされている人物です。

 その彼を記念すべく1970年に立てられたのが、安重根義士記念館。それほど大きくない建物ですが、写真や当事の新聞記事、そして彼が獄中で書き上げた書を展示して、彼の業績と人格をうかがうことができるようになっていました。

 解説板にはハングルと英語に続いて、日本語の記述もありますし、当時の新聞は当然日本語なので、日本人でも読むことができます(旧字に旧かな遣いだけど(笑))。私が展示を見入っていたら、見学者が私たちだけになったので、記念館のおっちゃんが日本語版の安重根の業績紹介ビデオ見せてくれました(笑) すっごく韓国サイドな映像でしたけど。

 伊藤博文暗殺、それだけをみるとテロリストなわけですが、獄中で著した『東洋平和論』から独立運動家としての面を、獄中の彼に出会った日本人の弁護士や看守が感銘を受けて、死後の彼を偲んだりという話から、高潔な人格を感じたりしました。

 ただ、生真面目過ぎるんですよねぇ。マジメなカトリック教徒だったわりに、攘夷論者だから外国人の神父と対立したり(汗) 途中までした外国語の勉強を突然止めたり。もったいないもったいない。

 伊藤博文の暗殺に関しても、彼は西洋の実力を見知っている国際穏健派だったし韓国併合には躊躇してたといいます。それに急いで彼一人暗殺したところで、日本の支配を逆転させる契機にはなりえないし、結果的には、逆に焦った日本政府によって併合は早められてしまいました。歴史を勉強する人間としては、マイナス面も踏まえた上で、評価して行かねばならない人物だと思ったものです。

 記念館を出てタクシーを捕まえ、明洞まで移動。昼食にマクドに入ってみました。しかし、メニューにハングルしか書かれていない上、指で示せるメニューもなかったので、写真の隣のナンバーで注文する。「No.3プリーズ!」 よく考えてみれば、単なるチキンバーガーセットだったんですけどね(汗) メニューは日本とあまり変わりませんが、日本ではナゲットにしかついてこないソースが普通にポテトについていたのと、ジュースはコーラ限定なのは韓国風かな? ストローがなくてコップから直に飲んだんですけど、よく見たら席の近くでセルフでストローが取れるようになってました。

戦争記念館 野外展示 マクド後、明洞から三角地へ地下鉄で移動。戦争記念館へ。ソウルでも最大級の博物館とは聞いていましたが、実際には予想以上に広くてびっくりしました。元々陸軍本部があった場所だそうですが、中央にある建物自体も十二分に広いのに、庭がまた広くて。その庭に1950年からの朝鮮戦争で使用された戦闘機や兵器が実際に展示してあって、その迫力は凄い。

 建物の中では韓国の英雄たちを祭るスペースなどもあり、また外の回廊には朝鮮戦争戦没者の慰霊碑が並んでいて、日本でいうところの靖国神社的な意味合いもあるらしいです。靖国はなぁ…私だって別に日本の戦死者を慰霊すること自体は悪いとは思わないけど。それはともかく、祭られている人たちで目についたのは、豊臣秀吉の文禄・慶長の役(壬申・丁酉倭乱)の際に亀甲船を開発して日本軍を打ち破った李舜臣や、伊藤博文を暗殺した安重根。

 内部の展示は、百済・新羅・高句麗の三国時代以降の戦争史や武器が主で。詳しい解説は韓国語が読めないので困りましたが、日本史好きな私にはなかなか楽しめるものに。元に対抗した城の模型や、李舜臣の亀甲船も再現されてました。中に「長刀」という名前で、2m近い日本刀のような武器も展示されてましたが、一体誰が振り回したんだろう?と思ったり。青龍刀も展示してありましたが、ああいうのを振り回せる人もいたんですねぇ。

 一番力が入っていたのは、朝鮮戦争に関する展示。というか記念館正面には国が南北に分かれて戦ったことを示す像もありますし、この記念館自体が基本的には朝鮮戦争の記録と慰霊のために作られているようです。超大国の50年前の思惑のために、今も同じ民族が敵対しているのは、不幸としか言いようがないように思います。その遠因に日本が関わっていると思うと少しやるせないです。

 ちなみに日本ではGHQ最高司令官として有名なダグラス・マッカーサーは、朝鮮戦争では国連軍(米軍)の仁川上陸作戦を成功させ、戦況を一変させた人物として有名だそうです。

 18時ぐらいになって明洞に戻ってきて夕食。焼肉。ツレが食べたくて食べたくて、たまらなかったみたいです(笑) 薬念で下味をつけた牛バラ肉焼き(カルビグイ)に豚カルビ、チゲにチヂミ、ビビンバのセット。めちゃくちゃ食いました。ちょっと高かったけど、美味かったです。「とても美味しいです」の意味の「アジュ マシッソヨ」を連発する私たち(笑) 量が多くて、ちょっとした戦闘の後みたいな気もしました(笑)

 20時に貞洞劇場へ。行ってから気付いたんですが外国人ばかり。とりわけ日本人。ちょっと白けてしまいましたね。

プログラムは
1.正楽演奏
2.ブチェチュム(扇の舞)
3.四物ノリと管弦楽の合奏
4.太平舞(花を持った舞)
5.三鼓舞
6.農楽ノリ

韓国カップめん 汁が真っ赤(汗) 四物というのは、太鼓・大小のドラ・鞨鼓風の打楽器の四重奏。かなり激しく打ち鳴らすもので、目にも耳にも強烈でした。だから外国人受けするからか、しつこいぐらい長い演奏だったけど、私はちょっと白けてしまいましたね。能でいうなら『土蜘蛛』とか『石橋』の類で、偽者じゃないのでしょうけど客受けを狙いすぎのように感じて。

 良かったのは最初の正楽かなぁ。韓国雅楽なわけで、むやみに派手に走らないでも、凛とした強さみたいなものがあればいいんだけどねぇ。舞も流れるような動きの中に、一瞬一瞬止まって見せるのがよかった。特に複数で舞ってるのに、ピタッと合うのは鍛錬の結果とはいえ、凄いと思いました。楽器としては、正楽で使われていた長い横笛や、弦を使って弾く琴が面白かったですね。

 終了後、光化門を通って、ホテルまで歩いて帰る。昨日と同じように隣のセブンイレブンで買い物。カップめんを買ってみました。辛そうでないものを選んだはずが、さすがに韓国。激辛でした(汗) 汁が赤いんだもの(汗)


トップ観光記録ソウル>9月2日
「世の中に昔語りのなかりせば―」
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