春の七草と七種連歌の能《摺上》

能《摺上》謡本(部分)

春の七草と七種連歌

一日遅れですが、昨日は七草(七種)でしたね。

江戸後期、仙台藩で作られた能《摺上》には、仙台藩の正月行事「七種連歌」にちなんで春の七草を読み上げるセリフがあります。

夫(それ)七種(ななくさ)と申す事ハ、ごきやう、たびらこ、仏の座、すゞな、すゞしろ、芹、薺(なづな)、是を合せて申すなり
能《摺上》詞章

ここでは「たびらこ」と「仏の座」が並んで出てきますが、これは私が調べた辞典類では同じ植物の別名のはずなんです。そして現在の七種と比べると「ハコベラ」が入ってません。単なる間違い?それとも昔はこうだったのでしょうか。なお御伽草子の『七草草紙』も同じ組み合わせでした。

…あとこの謡本、よくよく見ると、シテとワキの掛合なのに両方「シテ」になってますね。他本と比べると、最初の「シテ」は正しくは「ワキ」のようです。

能《摺上》については、かつて2013年にシテとなっている伊達成実(伊達政宗の従兄弟)のアンソロジー『余るも夢の』付録冊子としてまとめたことがありますので、興味のある方はご覧下さい。

Pocket
LINEで送る

柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

オススメの記事